※本ページはアフィリエイト広告プログラムによる収益が発生しています
土地の売却をしたいけれど、どのくらいの値段で売ればいいのか悩んでいませんか? 土地の売値は、売り主と買い主との合意により自由に決められますが、売り主にとっては大切な財産を現金化するのですから、できれば利益が出るように高値で売却したいものです。
本記事では、土地の売価の基準となる土地評価額、土地評価額・売値を調べる方法、土地評価額から売値を決めるときのポイントなどについて解説します。本記事を読むことで、土地の売値の決め方や、土地評価額から適正価格を計算する方法、不動産会社の査定などについて理解できるようになるでしょう。
土地の売価の基準となる土地評価額とは
はじめに土地の売価を決める基準となる土地評価額について紹介します。売値と土地評価額の違いについても見ていきましょう。
土地評価額は4種類
土地評価額は、税金の金額を計算したり、地価の変動をチェックしたりする、行政機関によって定められた土地の価格です。土地の売価を決めるときにも目安して用いられています。
土地評価額は下表のように4種類あり、地価を調査・評価する主体や、調査方法、用途、公表時期などが異なります。
評価額 | 特徴 | 評価主体 | 公表時期 | 調べる方法 |
公示地価 |
| 国(国土交通省) | 毎年3月 | |
基準地価 |
| 都道府県 | 毎年9月 | |
路線価(相続税評価額) |
| 国(国税庁) | 毎年7月 | |
固定資産税評価額 |
| 市町村(東京23区は都税事務所) | 毎年4~6月頃 |
|
土地評価額と売値とは異なる
土地評価額が国や都道府県・市町村といった行政機関によって決められているのに対して、売値は売り主と買い主の合意によって決められます。
土地の売却は、通常売り主が土地評価額や不動産会社による査定額などをベースに売出価格を決めて販売活動をおこないます。買い手が見つかったら価格交渉をして、双方合意のもとで売値(成約価格)を決めて、不動産売買契約を結びます。売値は売出価格よりも若干安くなるのが一般的です。
売出価格は売り主が自由に決められますが、適正な価格で設定しないと売却できなくなる恐れがあります。
土地評価額・売値を調べる方法
売値は売り主と買い主との間で価格交渉を経て決められます。そのため、売出価格は値下げ交渉があることを前提として、売値の見込額よりも若干高めに設定するのが一般的です。ここでは、売出価格のベースとなる土地評価額や不動産会社の査定額などの調べ方を紹介します。
土地評価額の調べ方
最初に国や都道府県・市町村といった行政機関が決める4種類の土地評価額を使用して、適正価格を調べてみましょう。公示地価と基準地価は一緒に紹介します。
公示地価・基準地価の調べ方
国の公示地価は土地の「正常な価格」(適正価格)と位置づけられており、都道府県の基準地価は公示地価を補完する役割を持っています。
〈公示地価・基準地価の調べ方〉
- 土地情報総合システムにアクセス
- 地価公示・都道府県地価調査のボタンをクリック
- 都道府県を選択
- 市区町村を選択
- 検索条件を指定
- 検索結果が表示されるので、売却予定地の周辺の土地がないかを確認
すべての土地が評価の対象になっているわけではありません。対象外の土地は、下記の路線価や固定資産税評価額から適正価格を調べてみましょう。
路線価(相続税評価額)の調べ方
路線価は公示価格の8割程度で設定されているので、次の計算式で土地の適正価格を算出します。
土地の適正価格=路線価÷0.8
〈路線価の調べ方〉
- 財産評価基準書 路線価図・評価倍率表にアクセス
- 都道府県を選択
- 路線価図を選択
- 市区町村を選択
- 地名から路線価図ページ番号を選択
- 路線価図が表示される
〈路線価図の見方〉
“出典:国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」令和4年分 p.56198″
道路上にある数字は、その道路に面した標準画地(方形の土地)の1平方メートルあたりの価格を示しています。単位は千円です。アルファベットは借地権の割合を表しています。土地には所有権と借地権がありますが、借地権も相続や贈与の対象です。
例えば、「← 245D →」と書かれている場合は、地価は1平方メートルあたり24.5万円、借地権の割合は60%という意味です。
道路上の数字には、下図のようにさまざまな形の記号で囲まれているものがあります。この記号はビル街地区や高度商業地区などの土地の分類を示しています。記号で囲まれていない場合は、普通住宅地区です。
借地権の割合を表すアルファベットや記号の意味は、路線価図の上部に説明が書かれています。
“出典:国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」令和4年分 p.56198″
ただし実際には、奥行きが短かったり、がけ地などの使いにくい土地や、角地などの使いやすい土地があったりします。そのような場合、さらに補正率を乗じて価格を補正する必要があります。補正率の種類と数値は国税庁のホームページで調べられますが、より正確に路線価を調べたい場合は、税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。
固定資産税評価額の調べ方
固定資産税評価額は公示価格の7割程度で設定されているので、次の計算式で土地の適正価格を算出できます。
土地の適正価格=固定資産税評価額÷0.7
〈固定資産税評価額の調べ方〉
調べられるもの | 入手方法など |
固定資産税課税通知書 | 毎年1月1日現在の所有者(固定資産税の納税義務者)に対して、毎年4~6月頃に市町村(東京23区は都税事務所)から送付 |
固定資産税評価証明書 | 次に該当する人が、市町村(東京23区は都税事務所)に交付請求(例:東京都)
|
固定資産税課税台帳 | 次に該当する人が、市町村(東京23区は都税事務所)で閲覧(例:東京都)
|
次に該当する人が、定められた縦覧期間内(4~6月)に、市町村(東京23区は都税事務所)で縦覧(例:東京都)
|
土地評価額以外の価格も参考にする
売出価格や売値は、上記で紹介した土地評価額をベースにして、実際に取引された価格、売り出されている価格、不動産会社が査定した価格なども参考にして決めましょう。
実勢価格(成約価格)
売り主と買い主の合意により実際に取引された価格を実勢価格または成約価格といいます。実勢価格は、次のサイトで調べられます。
土地総合情報システムは、国土交通省が実際におこなわれた取引の価格をアンケート調査し、個人情報などを削除、物件が特定できないようにしてホームページで公表しています。
一方、レインズ・マーケット・インフォメーションは、国土交通大臣が指定する4つの不動産流通機構が保有する不動産の成約価格などの取引情報を公開しているサイトです。全国の不動産会社の間で共有されているデータから個人情報などを削除、物件が特定できないようにして、一般の人も閲覧できる仕組みになっています。
売出価格
売出価格は、売り主の「この価格で土地を売却したい」という希望価格です。売出価格は、売り主と買い主間で値下げ交渉があることを見込んで、適正価格よりも若干高めに設定するのが一般的です。
売出価格は、次のような不動産ポータルサイトで調べられます。
まったく同じ土地はひとつとしてありません。調べた周辺地の成約価格や売出価格をもとに、日照や周辺の環境なども考慮し、不動産会社の担当者と相談しながら売値を決めましょう。
不動産会社の査定額
不動産売却の専門家である不動産会社に、売却したい土地にどのくらいの価格がつけられるのかを査定してもらうのもおすすめです。
査定を依頼するときは、1社ではなく、複数社(3社程度)に依頼するとよいでしょう。査定の基準は各社ごとに決められており、査定結果も各社それぞれです。複数社に査定してもらうことにより、さまざまな視点からの査定結果を比較し、相場を把握できます。
ただ、複数の不動産会社を探し査定依頼するのは手間がかかるので、不動産一括査定サイトの利用をおすすめします。サイトの運営会社によって優良な不動産会社がすでに厳選されており、一度入力するだけで、いっぺんに複数社に査定依頼ができてとても便利です。
代表的な不動産一括査定サイトには次のようなものがあります。
不動産鑑定士の鑑定額
不動産の専門家に不動産の価格を評価してもらう方法には、不動産会社による査定のほかに、不動産鑑定士による鑑定があります。
不動産鑑定は国家資格者である不動産鑑定士が、法律や国土交通省が定めた基準に基づいて、有料ですが不動産の価値を評価してくれます。
不動産鑑定は正式鑑定と簡易鑑定の2種類に分けられます。不動産査定を含めて、その違いを比較してみましょう。
不動産鑑定 | 不動産査定 | ||
正式鑑定 | 簡易鑑定 | ||
目的 | 公的な目的(裁判や税務関係など)で価格を知りたいとき | 公的な目的ではないが、信頼性の高い基準で評価した価格を知りたいとき | 大まかな価格を知りたいとき |
評価する人 | 不動産鑑定士 | 不動産鑑定士 | 不動産会社の担当者(宅建士有資格者とは限らない) |
評価する基準 | 国の基準 | 個々の不動産鑑定事務所の基準 | 個々の不動産会社の基準 |
報告書のタイトル | 「不動産鑑定評価書」 | 「不動産価格調査書」「不動産価格意見書」など | 「不動産査定書」など |
料金 | 有料 | 有料(正式鑑定の2~3割安) | 無料 |
不動産鑑定は非常に信頼性が高い評価方法ですが、一般的な土地売却ではそこまで求められることは少なく、不動産会社による査定で十分であることがほとんどです。
土地評価額・査定額と売値に差が生じる理由
ここまで見てきたように、土地評価額や査定額と売値は同じではありません。ここではなぜ違いが出てくるのか、その理由を探っていきます。
業者によって得意・不得意があるから
土地の売却を得意とする不動産会社に依頼すると、土地評価額や査定額よりも高値で売却できることがあります。
独自の情報ネットワークから、その土地をほんとうに求めている買い手を探し出してくれる可能性があるからです。そのような買い手は相場以上の価格を提示してくれることもあります。
売却できず売値を下げていくことがあるから
上記とは逆に、土地評価額や査定額よりも安値で売却しなければならないケースも多いです。
通常は売り主と買い主間で値下げ交渉があることを見込んで、土地評価額や査定額よりも若干高い金額で売出価格を設定しますが、なかなか買い手が見つからないと当初設定した売出価格から徐々に値下げをしなければならないためです。
実際の売値は需給関係によって決まるから
土地には定価というものがなく、そのときどきの需給関係で価格が決まります。
長い間買い手が見つからない場合でも、なにかの節に、思ってもみないところから購入希望者が現れることもあります。そのため販売活動を一時的に中断して、タイミングを見計らってから再開することもあります。
当初の売出価格の設定はもちろん、値下げをする額やタイミングなどはなかなか素人では判断できません。プロである不動産会社の担当者とよく相談して決めるようにしてください。
土地評価額から売値を決めるときのポイント
最後に土地評価額から売値を決めるときのポイントを紹介します。
価格交渉を見込んで高めに設定にする
売出価格は、売り主と買い主の間で値下げ交渉があることを見込んで、適正価格よりも若干高めに設定しましょう。
適正価格よりもあまり高すぎる価格設定にすると買い手は寄り付きません。逆に安すぎても「この土地は何か問題があるのではないか」と勘繰られ、やはり購入希望者から敬遠されてしまうでしょう。このバランスは難しいので、不動産会社の担当者とよく相談して決めることが大切です。一般的には適正価格より1~2割程度高めに設定することが多いようです。
例えば、固定資産税評価額を用いて売出価格を決める場合は、次のような計算式になります。
土地の適正価格=固定資産税評価額÷0.7
売出価格=適正価格×1.1~1.2
また、値下げ交渉があった場合、「この値段以下を求められた場合は売却しない」という最低希望価格もあらかじめ決めておくとよいでしょう。
不動産買取の場合売値は決められない
ここまで述べてきた土地の売却方法は、不動産会社が売り主と買い手の間に入る仲介という方法を前提に説明してきました。仲介は一般的に不動産売却で用いられている方法です。
しかし、なかなか買い手が見つからない、タイムリミットまでに土地が売れないなどの事情があるときは、不動産会社に直接土地を買い取ってもらう買取という方法も選べます。
買取の場合は、価格が相場の6~8割になることが一般的で、基本的には不動産会社と価格交渉ができません。
複数の不動産会社に見積もりを依頼し、条件が合い、一番高く買い取ってくれる会社を選ぶようにしましょう。
まとめ
土地の売値を決める基準となる土地評価額は、公示地価、基準地価、路線価(相続税評価額)、固定資産税評価額の4種類があります。いずれも税金の金額を計算したり、地価の変動をチェックするため、行政機関によって定められた土地の価格ですが、計算式を用いることにより土地の適正価格を求めることも可能です。
土地評価額以外にも、売り主と買い主の合意により実際に取引された実勢価格(成約価格)、売り主の希望価格である売出価格、不動産会社の査定額、そして場合によっては不動産鑑定士による鑑定額もチェックして、総合的に勘案して売値を決めましょう。
売出価格は売り主が自由に決められますが、適正な価格で設定しないと買い手に敬遠され、売却できなくなる恐れがあります。素人がひとりで判断するには難しい点も多いため、プロである不動産会社の担当者からアドバイスをもらって決めるようにしてください。
[土地活用_内部リンク]