アパート経営の利回りの目安は?利回りの種類と計算方法を解説

アパート経営の利回りの目安は?利回りの種類と計算方法を解説

アパート経営を始めようとしている人のなかには、「失敗したくない」「失敗を防ぐ方法を把握しておきたい」と考えている人も多いのではないでしょうか。

アパート経営で意識したい項目のひとつが、利回りです。利回りについて理解を深めておくと、経営が成功につながる可能性が期待できます。この記事では、アパート経営の利回り種類や目安をわかりやすく解説します。

後半ではシミュレーション例も紹介しているので、アパート経営を検討している人はぜひ参考にしてください。

アパート経営における利回りとは

まずは、アパート経営における利回りとは何かについて理解を深めていきましょう。

利回りとは

基本的な利回りの意味は、費やしやコストに対して得た利益の割合です。アパート経営は、不動産投資のひとつであり、アパートの経営における利回りは、不動産投資したコストに対して得られる利益を指します。

利回りを考える際には、特に期間を指定しなければ1年あたりが基準。投資のなかでも、不動産投資はほかに比べて利回りが下がりやすい傾向にあります。

なぜなら建物は経年劣化により価値が下がり、維持管理費もかかるからです。また、経済情勢の影響を受けやすいため、アパート経営を続ける限りは利回りを把握することが大切。

利回りに影響を与えるもの

ここからは、アパート経営における利回りに影響を与えるものを解説します。

初期費用

アパート経営を始める際には、さまざまな初期費用がかかります。利回りは費やしやコストに対して得た利益の割合になるため、初期費用にかかる金額が影響するというわけです。

初期費用は、アパート経営を始める前の状態で変動し、土地を所有しているか否かでは、必要な初期費用が異なります。

土地を所有している場合
  • 建物の建築費
  • 外構・駐車場整備費
  • 室内整備機器設置費 など
土地を所有していない場合
  • 土地購入費
  • 建物の建築費
  • 外構・駐車場整備費
  • 室内整備機器設置費
  • 固定資産税・都市計画税
  • 登録免許税 など

アパート経営を一から始める場合、中古物件を購入するか、新築するかで初期費用にかかる金額が変動します。ニーズの高いリーズナブルな中古物件が見つかれば、高利回りが期待できます。

得られる収入

アパート経営における利回りは、得られる収入によって変動します。事業にかかるコストをおさえられていても、収入が少なければ高利回りは期待できません。

また、アパート経営の大きな収入源になるのは、入居者から支払われる家賃であるため毎年同じ程度の支出を維持していても、入居率によって利回りが変動します。

そして、事業を継続するなかで、当初設定した家賃の金額を維持できるとは限りません。次のようなケースでは、家賃の値下げを余儀なくされる可能性があります。

  • ニーズが低い
  • 周辺の類似物件に比べて家賃が高い など

最近では、入居者から家賃の減額交渉を持ちかけられるケースも珍しくありません。入居率は利回りに影響しますが、状況を見ながら適切な判断を下すようにしましょう。

運営にかかる費用

アパート経営では、ランニングコストがかかります。ランニングコストの変化は利回りに影響するため、事業をするうえで注視すべきポイントのひとつです。

アパート経営にかかるおもなランニングコストは、次のとおりです。

  • 固定資産税・都市計画税
  • 管理費
  • 清掃費
  • 修繕費
  • メンテナンス費 など

固定資産税と都市計画税は、毎年1月1日時点での不動産所有者に対して課せられるため、年1回の頻度で納付が必要です。アパートの管理や清掃などを管理会社に委託する場合は、毎月管理委託費が発生します。

管理委託費は、家賃収入の5%程度が目安です。例えば月の家賃収入が1,000万円の場合、管理委託費の目安は50万円程度になります。また、アパートを良好な状態で維持するためには、定期的に修繕やメンテナンスが必要。

修繕費やメンテナンス費は、家賃収入の7%程度が目安です。例えば家賃収入が800万円の場合、56万円程度になります。このように、アパート経営ではさまざまなランニングコストがかかり、支出は決して少なくないのが現状です。

リスクの想定

アパート経営にはさまざまなリスクがあり、利回りに悪影響をおよぼす可能性があります。軌道に乗っても継続できる保証はないため、リスクに備えた経営を心がけることが大切。

アパート経営におけるおもなリスクは、次のとおりです。

リスク原因
空室
  • 立地条件
  • 建物の経年劣化
  • 供給過多
  • 社会情勢による影響 など
家賃下落
  • 入居率の低下
  • 建物の経年劣化
  • 供給過多
  • 社会情勢による影響 など
金利上昇
  • 変動金利制の選択
  • 社会情勢による影響 など

このほかには、入居者による家賃滞納によって収入が減るリスクもあります。家賃滞納時のリスクは、保証会社や保険への加入で備えることが可能です。

また、近年は全国各地で地震や台風などによる自然災害が発生しています。アパートは火災が発生する可能性もあるため、リスクに備えておきましょう。

アパート経営の利回りの種類とその計算方法

利回りには次の4種類があり、それぞれ計算方法が異なります。

  • 表面利回り
  • 想定利回り
  • 実質利回り
  • CCR利回り

上記のなかには、初めて見聞きする言葉も多いと感じる人もいるのではないでしょうか。ここからは各利回りを詳しく解説するので、アパート経営の際に役立ててください。

表面利回り

利回りの基本になるのが、表面利回りです。表面利回りとは、物件の購入価格に対する家賃収入の割合であり、アパート経営を始める際には、土地と建物を準備する必要があります。

土地や建物の価格は事業に大きく影響するため、購入する際には想定される年間の家賃収入をもとに表面利回りを計算することが大切です。表面利回りの計算式は、次のとおりです。

【表面利回り(%)=年間の家賃収入÷物件の購入価格×100】

例えば年間の家賃収入が1,200万円、物件の購入価格が9,000万円と仮定した場合、表面利回りは1,200万円÷9,000万円×100で13.4%になります。

想定利回り

アパート経営を始めても、すぐに満室になるとは限りませんが、好立地でニーズが高い物件では、満室の状態を維持できる可能性があります。

利回りのなかには、空室がない状態を想定して算出する想定利回りがあります。最大の利益を計算できるため、収益物件を取り扱う不動産会社の広告で採用されるケースも多いです。

しかし、最近は住宅の供給過多と人口減少が目立ち始めていることから、満室を維持するのは難しいのが現状。想定利回りで高い数値が出ても、あくまでも想定される最大の利益でしかありません。

想定利回りの計算式は、次のとおりです。

【想定利回り(%)=(空室なしの年間家賃収入÷物件価格)×100】

例えば空室なしの年間の家賃収入が1,500万円、物件の購入価格が9,000万円と仮定した場合、表面利回りは1,500万円÷9,000万円×100で16.7%になります。

実質利回り

実質利回りは、1年間にかかる諸経費や物件購入時の諸経費を含めて計算する方法です。より詳細な項目を含めて計算するため、表面利回りや想定利回りに比べて現実的です。

実質利回りの計算式は、次のとおりです。

【実質利回り(%)=(年間の家賃収入-1年間の諸経費)÷(物件の購入価格+購入時の諸経費)×100】

例えば年間の家賃収入が1,500万円、物件の購入価格が8,000万円、1年間の諸経費が500万円、購入時の諸経費が1,000万円と仮定した場合、実質利回りは(1,500万円-500万円)÷(8,000万円+1,000万円)×100で14.3%になります。

CCR利回り

CCR利回りのCCRはCash on Cash Returnの略で、不動産投資の効率を計算する方法。自己資金に対して得られる収入を算出でき、数値が高いほど投資効率が高いことを意味します。

CCR利回りの計算方法は、次のとおりです。

【CCR利回り(%)=(年間の家賃収入-諸経費)÷自己資金×100】

例えば年間の家賃収入600万円、諸経費400万円、自己資金1,200万円と仮定した場合、(600万円-400万円)÷1,200万円×100で16.7%になります。

アパート経営の利回りの相場

ここからは、アパート経営の利回りの相場を解説します。

ワンルームの相場

投資用物件の利回りの相場は、一般財団法人日本不動産研究所のデータをもとに解説します。2022年4月現在のワンルームの相場は、次のとおりです。

エリア相場
東京都城南地区4.0%
札幌5.3%
仙台5.3%
横浜4.5%
名古屋4.8%
京都4.9%
大阪4.5%
神戸5.0%
広島5.5%
福岡4.8%

“参考:一般財団法人日本不動産研究所「第46回不動産投資家調査(2022年4月現在)」

データを見ると、多くのエリアで5%を切っていることがわかります。5%を超えているエリアは、札幌・仙台・神戸・広島だけです。京都・大阪・福岡は、前回調査の2021年10月から0.1~0.2ポイント下がっています。

ファミリー向け

ファミリー向け物件の利回りの相場は、次のとおりです。

エリア相場
東京都城南地区4.1%
札幌5.4%
仙台5.4%
横浜4.7%
名古屋4.9%
京都5.0%
大阪4.7%
神戸5.0%
広島5.5%
福岡5.0%

“参考:一般財団法人日本不動産研究所「第46回不動産投資家調査(2022年4月現在)」

ワンルームと異なり、ファミリー向けは多くのエリアで5%を超えていることがわかります。大阪と福岡以外は、前回調査から0.1ポイント下がっています。

理想的な利回りと最低ライン

アパート経営で利回りを考える際には、エリアや物件タイプごとの相場を目安にするのも選択肢のひとつです。しかし、理想的な利回りと最低ラインを押さえておけば、自身の経営状態を把握しやすくなります。

理想的な実質利回りは5%最低ラインは3%が一般的であり、立地条件や投資額によって目安は異なりますが、ひとつの基準として押さえておきましょう。

種類別アパート経営の利回り例

ここからは、アパート経営の利回り例を種類別に紹介します。紹介する利回りの種類は、次のとおりです。

  • 新築アパート:土地所有の場合
  • 新築アパート:土地見所有の場合
  • 中古アパート

それでは見ていきましょう。

新築アパート

新築アパートを建築する場合、土地を所有しているか否かで初期費用が大きく異なります。

土地所有の場合

まずは、次の条件で所有している土地にアパートを新築するケースを紹介します。

項目条件計算例
建築費用7,000万円
諸経費7%7,000万円×7%=490万円
頭金0円
想定家賃1室10万円/月×8部屋10万円×8部屋×12ヵ月=960万円
ローン期間30年
金利タイプ固定金利2%
年間経費家賃収入の15%960万円×15%=144万円
入居率80%

利回りは、次の通りです。

表面利回り960万円÷7,000万円×100=13.8%
実質利回り(720万円-144万円)÷(7,000万円-490万円)×100=0.7%

土地未所有の場合

次に、次の条件で土地購入してアパートを新築するケースを紹介します。

項目条件計算例
土地の購入費用5,000万円
建築費用7,000万円
諸経費7%1億2,000万円×7%=840万円
頭金0円
想定家賃1室10万円/月×8部屋10万円×8部屋×12ヵ月=960万円
ローン期間30年
金利タイプ固定金利2%
年間経費家賃収入の15%960万円×15%=144万円

利回りは、次の通りです。

表面利回り960万円÷1億2,000万円×100=8.0%
実質利回り(720万円-144万円)÷(1億2,000万円+840万円)×100=0.4%

中古アパート

最後に、土地と中古アパートを購入した場合の利回りを紹介します。中古は新築と同様の仕様でも価値が下がるため、購入費用は上記の新築の70%に設定しています。

項目条件計算例
土地の購入費用5,000万円
建物費用4,900万円
諸経費7%9,900万円×7%=693万円
頭金0円
想定家賃1室10万円/月×8部屋10万円×8部屋×12ヵ月=960万円
ローン期間30年
金利タイプ固定金利2%
年間経費家賃収入の15%960万円×15%=144万円

利回りは、次の通りです。

表面利回り960万円÷9,900万円×100=9.7%
実質利回り(720万円-144万円)÷(9,900万円+693万円)×100=0.5%

利回りを高める方法

シミュレーション結果の利回りが低くても、事前に対策できることがいくつかあります。ここからは、利回りを高める方法を解説します。

物件は複数比較する

アパート経営を始める際には、物件選びが重要。ニーズのある物件には入居希望者が多く、高い利回りが期待できるからです。物件のおもな相談先は、次のとおりです。

  • ハウスメーカー
  • ゼネコン
  • 工務店 など

あとから優良物件が現れる可能性もあるため、最初の1社ですぐに決めないようにしましょう。物件を決める際には複数社を比較し、慎重に検討することが大切。

アパート経営は、物件が完成したらそれで終わりではありませんので、業者が提案する完成前後の経営プランもきちんとチェックしましょう。

部屋数の少ない物件を考える

アパート経営では、物件タイプ選びも重要です。部屋数が多くても、入居率が低ければ高い利回りが期待できないからです。利回りを重視するなら、ファミリータイプよりもワンルームタイプを選びましょう。

ワンルームタイプは1部屋あたりの家賃総額が低いため、家賃の単価を高く設定できます。また、ファミリータイプに比べて空室リスクも低いため、利回りを上げられる可能性があります。

建物・設備の仕様を検討する

アパート経営を始める際には、建物の建築費をおさえると利回りを上げられる可能性があります。建物や設備の仕様はいくつかのグレードがあり、それぞれ料金が異なります。

最初に料金が高いものを選ぶと、修繕が必要になった際にもそれなりのコストがかかるのは必然です。利回りを上げるためには建物や設備の仕様を見直し、減額できる部分があれば差し替えましょう。

管理方式は適切なものを選ぶ

利回りを上げるためには、アパートを適切に管理することも大切です。管理方式は、おもに次の3種類があります。

  • 自己管理
  • 管理委託
  • 一括借上

自己管理は、入居者の募集や清掃などの管理をすべてオーナー自身でおこなう方式です。管理会社に支払う管理委託費をカットできるため、時間に余裕がある場合は自己管理するのも選択肢のひとつ。

管理委託は、管理会社にアパートのあらゆる管理を任せる方式です。入居者同士のトラブルがあっても一任できる一方で、管理委託費が発生します。

一括借上はアパート自体を業者に貸し、管理もすべて任せる方式。入居率に左右されることなく一定の収入は得られますが、ほかの方式にくらべて収入は少なくなります。

利回りだけではないアパート経営を成功させるコツ

最後に、アパート経営を成功させるコツを解説します。

利回りだけで物件を選ばない

アパート経営を成功させるために重要視すべきなのは、利回りだけではありません。なぜなら、利回りが高いことと優良物件はイコールではないからです。

継続的に安定した経営をしていくなら、ニーズの高い物件を選んだほうが入居者が集まりやすくなります。物件の良し悪しは立地条件が大きく影響するため、周辺の環境や相場などもきちんとチェックしましょう。

トラブル対策をしておく

アパートやマンションなどの賃貸経営では、おもに次のようなトラブルが発生しています。

  • 家賃滞納
  • 入居者同士のトラブル
  • 入居者が集まらない
  • 高額な修繕費用 など

アパート経営を始めると、上記のようなトラブルに見舞われるリスクがゼロではありません。事前にどのようなトラブルが発生しやすいかをチェックし、万が一のときのために備えておきましょう。

低金利のローンを利用する

アパート経営を始める際にローンを利用する場合、できるだけ低金利のものを選びましょう。低金利のローンは返済額がおさえられるだけでなく、利回りの低下を避けられます。

変動金利タイプで金利が上がってきたときには、金利の低いローンに借り換えるのも手段のひとつです。借り換え先によっては、団体信用生命保険の保証が手厚いケースもあります。

アパート経営の利回りは表面利回りよりも実質利回りで計算してみよう

利回りの種類はいくつかあり、それぞれ計算方法が異なります。種類によっては計算方法は複雑なので、自分で計算するのが面倒な場合はシミュレーションサイトを利用してみてください。

インターネット上にはシミュレーションサイトが数多くあり、必要項目の数値を入力するだけで自動計算してくれます。想定しているさまざまな条件でシミュレーションし、アパート経営を成功させましょう。

この記事の著者
駅探PICKS編集部
駅探PICKS編集部
駅からみつかる楽しい・便利な情報を編集部が厳選してお届け。普段何気なく利用している駅の近くにも、あなたにピッタリのサービスが見つかるかも?