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中古マンションの売却をしようと決めても、「なにから取りかかればいいの?」「売却が終わるまでの流れがわからない」「税金や書類はどのようなものがあるの?」など、くわしい方法がわからず悩む人がおおぜいいます。難しい専門用語や計算しなければならないお金の問題も多くあり、頭をかかえる人が多いのです。
しかし、多くの人びとにとって不動産の売却は人生のうちに何度もあるものではないので、悩んだりすることは、むしろ当然のことです。
本記事では、そのような中古マンションの売却で悩んでいる人のために、中古マンションの売却手順、相場の調べ方、税金や手数料などのお金の話、必要書類や売却時のポイントを解説します。不動産売却の基本がわかるようになりますので、本記事を読んで少しでも悩みを解消してください。
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中古マンションを売却する流れ
中古マンション売却を検討しているなら、全体の流れをつかむところから始めましょう。売却の手順は、以下のとおりです。
- 事前準備:相場調査とローンの確認
- 依頼:不動産会社選びと査定
- 契約:媒介契約を結ぶ
- 販売開始:中古マンションの売却活動
- 売却:売買契約と決済・引渡し
1.事前準備:相場調査とローンの確認
中古マンションを売却するうえで、最初に取りかかることは事前準備です。不動産会社を探す前に、自分が売ろうとしている物件がいくらくらいの価値があるのか調べましょう。
相場を知っているかどうかは非常に重要です。不動産会社選びの参考にもなりますし、相場観を身に着けていないと、どのくらいの金額で売り出し、買い手との交渉の結果どのくらいの結果で折り合えばいいのか価格がをうまく決められないでしょう。
相場を調べる詳しい方法については、中古マンションの売却相場を調べる方法の章で解説します。
また、売却しようと思っている物件にローンが残っているなら、金融機関に問い合わせてローン残債を調べておきましょう。ローン残債があっても売却前に完済するか、売却益により一括返済できれば、売却は可能です。
問題になるのは、売却益を使ってもローンが残ってしまうオーバーローンのケースです。オーバーローンの場合は、そのままでは売却できないため、住み替えローンの利用や任意売却などを検討する必要があります。
2.依頼:不動産会社選びと査定
相場を把握したら、次は信頼できるパートナーとなる不動産会社を選びます。不動産会社にはそれぞれ強みや特徴があるので、中古マンションの売却実績や経験のある不動産会社を探しましょう。いきなり一社に絞らず、比較してから決められるように複数社に査定依頼を出します。
査定には、机上査定と訪問査定があります。
机上査定では訪問することなく、物件情報からおおよその査定額を出します。実際に見ていないので、周辺環境や日あたりなどを考慮していません。そのため机上査定額と実際の売出価格が、大きく異なる可能性があります。
一方、訪問査定は不動産会社の担当者が、実際に現地を訪れて調査します。査定額が出るまでに日数はかかりますが、机上査定よりも正確な査定額がわかります。
まずは複数の不動産会社に机上査定依頼を出し、査定額だけではなく担当者の対応力や会社の強みなどを比較しましょう。それから不動産会社を数社に絞り込み、訪問査定を依頼するとよいです。
最初にアプローチする不動産会社選びが大変であれば、無料で利用できる不動産一括査定サイトを活用するのがおすすめです。
3.契約:媒介契約を結ぶ
訪問査定や担当者とのヒアリングで仲介を任せられる不動産会社だと感じたら、媒介契約を結びます。媒介契約は、下表のように3種類があります。それぞれ特徴が異なるので、状況や自分の物件に適した契約を選択しましょう。
自己発見取引 | 依頼できる不動産会社数 | 依頼主への販売活動報告義務 | レインズへの登録 | |
一般媒介契約 | できる | 複数社可能 | なし | 義務なし |
専任媒介契約 | できる | 1社のみ | 2週間に1回以上 | あり |
専属専任媒介契約 | できない | 1社のみ | 1週間に1回以上 | あり |
一般媒介契約は自由度が高く、複数の不動産会社と契約を結べます。しかし、不動産会社からすると、営業努力をしても他社で成約したら利益にならないため、モチベーションは下がります。それぞれ長所・短所があるので、条件をよく確認してから契約を結びましょう。
4.販売開始:中古マンションの売却活動
媒介契約を結ぶと、不動産会社の担当者が売却活動を始めます。物件情報サイトや広告に物件が掲載されるので、問い合わせ対応をおこないましょう。
媒介契約を結んでから成約が決まるまで、早ければ3ヵ月ですが、なかなか売れないと1年以上かかることもあります。問い合わせが少ない場合は、不動産会社の営業担当者とともに売り出しの価格や方法を見直します。
内覧でメリットをアピール
物件に興味を持った購入希望者から内覧の申し込みが入ります。内覧は「気に入った」「購入したい」と思ってもらう最大のチャンスです。物件のよいポイントを精一杯アピールしましょう。
内覧の印象をアップさせるには、清潔感や整頓された空間が大事です。事前に掃除や整理整頓をしておきましょう。
また、よい点ばかりを強調して、マイナス面を隠してはいけません。売り主には、民法上の契約不適合責任があります。これは物件の引渡し後に欠陥が見つかった場合、売り主が責任を負うというもので、買い主から補修や損害賠償などを求められたり、契約を解除されることもあります。気になるキズや設備の故障などがある場合には、説明して納得したうえで購入してもらうことも大切です。
購入の申し込みと交渉
物件を気に入った人から不動産会社を通じて購入申込書が届きます。申込書には以下の内容が書かれています。それをもとに購入希望者と交渉をおこないましょう。
<申請書の項目例>
- 購入希望価格:買い主側の希望額
- 支払い条件(手付金、内金、残代金)
- スケジュール(契約日、決済日、引渡し日)
- 融資の利用予定
たび重なる調整や変更は、交渉が不調に終わる原因となります。値引き交渉やスケジュール調整などに関しては、不動産会社の営業担当者のアドバイスを聞きながら、スムーズな交渉ができるように心がけましょう。
5.売却:売買契約と決済・引渡し
購入希望者との交渉が成功したら、手付金を受け取り売買契約を結びます。売買契約から1ヵ月以内に決済や引渡しをおこないますが、売買契約締結後の解除は難しいため、契約書はしっかり確認しておきましょう。
決済日と引渡し日は、基本的に同日です。買い主が住宅ローンを借り入れる銀行に売り主、買い主、金融機関、不動産会社、司法書士など関係者が一堂に会し、決済をおこないます。
決済が終了したら所有権移転登記(名義変更)の手続きをおこない、鍵を渡します。引渡し確認書類に記名・押印すれば手続きはすべて完了です。
中古マンションの売却相場を調べる方法
インターネット上には中古マンションの売却相場を調べられるサイトがいくつかあります。ここでは、3種類のサイトを紹介します。それぞれの特徴をおさえて、調べた価格を比較するとよいでしょう。
不動産取引の情報サイト
インターネット上には、さまざまな不動産取引の情報サイトがあります。
SUUMOやHOME’Sのような不動産ポータルサイトは、不動産会社がお金を払って物件情報を掲載しているサイトです。
ひとつのサイトで各不動産会社が抱えている物件情報を見られるため、とても便利です。売却予定の中古マンションとエリアや築年数、部屋の広さなどが似ているものを検索しましょう。販売価格を簡単に比較できます。
短時間で相場がわかりますが注意点もあります。掲載されている情報は、実際に売れた成約価格ではなく、売り主の希望価格である売出価格です。売出価格から値下げ交渉がおこなわれるため、成約価格は売出価格よりも安くなることが一般的です。
また、似たような物件があまり見当たらない場合には、類似の物件探しに時間や手間をとられるかもしれません。
レインズマーケットインフォメーション
レインズマーケットインフォメーションは、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営する、成約をもとにした不動産取引情報提供サイトです。
地域詳細や、単価、面積、間取り、築年数などで、成約の合った物件を絞り込み、成約価格が調べられるので、不動産ポータルサイトで調べられる売出価格だけでなく、実際に取り引きされた成約価格もチェックしておきましょう。
これとは別に、不動産会社が用いるレインズというサイトもありますが、レインズには物件の情報のほかに顧客情報も含まれるので、一般の人は使用できません。
土地総合情報システム
土地総合情報システムは、国土交通省が提供している情報サイトで、不動産の取引価格や地価公示・都道府県地価調査の結果が調べられます。
レインズマーケットインフォメーションでは、土地のみの成約価格を調べられません。しかし、土地総合情報システムでは、土地のみの価格と、土地と建物の価格を分けて調べられます。
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中古マンション売却の手数料・税金
中古マンションの売却にはさまざまな税金や諸経費がかかるため、あらかじめ調べて準備をしておきましょう。ここでは中古マンションの売却までに発生する費用や税金について解説します。
仲介手数料
仲介手数料は、物件を仲介してくれた不動産会社に対して支払う手数料です。中古マンションの売却価格ごとに、宅地建物取引業法で仲介手数料の上限が定められています。金額ごとの仲介手数料の上限は以下のとおりです。
金額 | 仲介手数料の上限(消費税含む) |
200万円以下 | 5.5% |
200万円超え400万円以下 | 4.4% |
400万円超え | 3.3% |
“参考:国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」”
中古マンション売却はほぼ400万円超えになるので、その際の計算式は以下のとおりです。式に数字を当てはめて、仲介手数料を算出しましょう。
仲介手数料=(売買価格×3%+6万円)+消費税
税金
不動産を売却する際にかかる税金には、印紙税、譲渡所得税、登録免許税があります。税金は売却額ごとに変り、計算式によって算出しなければならずわかりにくいですが、しっかり把握しなければなりません。ここではそれぞれの詳細について解説します。
印紙税
土地の売買契約を交わす際に、契約書に印紙を貼って納税します。税額は、中古マンションの売却額によって変わります。表にまとめたので、参考にしてください。
契約金額 | 印紙税額 | 軽減措置後の印紙税額 |
---|---|---|
100万円超~500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超~1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超~1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円超~5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
“参考:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」”
譲渡所得税
譲渡所得税は、中古マンションの売却で利益が出た場合に課税される下記の所得税、住民税、復興特別所得税の3つをあわせた税金を指します。
所得税は、次の計算式で求めます。
所得税={売買金額-(取得費+譲渡費用)}×所得税率
取得費は、物件を購入したときに支払った額で、購入代金だけではなく手数料や諸経費なども含まれます。譲渡費用は、物件を売るときにかかった手数料や売り主負担の印紙税などです。
税率はマンションを所有していた期間によって変わります。期間ごとの税率は以下のとおりです。税金を安く抑えたいなら売却のタイミングを見計らうとよいでしょう。
所得期間 | 所得税率 |
---|---|
短期譲渡所得(5年以内) | 30% |
長期譲渡所得(5年超え) | 15% |
“参考:国税庁「No.4155 相続税の税率」”
住民税の税率は、譲渡所得税同様にマンションの所有期間によって変わります。住民税の税率は以下のとおりです。
所得期間 | 住民税率 |
---|---|
短期譲渡所得(5年以内) | 9% |
長期譲渡所得(5年超え) | 5% |
“参考:国税庁「No.4155 相続税の税率」”
復興特別所得税は、所得税の納税義務がある全員を対象としていますが、不動産を売却した際には、次の計算式で求めます。
復興特別所得税=所得税×税率2.1%
登録免許税
マンションのローンを組んでいた場合、住宅ローンの借り入れ担保として抵当権が設定されています。中古マンション売却の際にローンを一括返済すれば自動的に抵当権はなくなりますが、登記簿に登記された抵当権は手続きをしなければ抹消されません。
抵当権抹消登記をおこなうための登録免許税は、基本的に不動産1件につき1,000円です。例えば、土地付き中古マンションを売却する場合は、マンションと土地の2件となるため登録免許税は2,000円です。
その他経費
中古マンション売却にはこれまで説明してきた以外にも、さまざまな諸経費がかかります。
手続きに関するものでは、司法書士に抵当権抹消登記の手続きを依頼すれば、1万~2万円程度の報酬が発生しますし、印鑑登録証明書、住民票の写し、固定資産税評価証明書などの必要書類を作成するのにも、それぞれ300円程度の手数料が必要です。
また、売却前に故障個所を修繕したり、ハウスクリーニングを入れればそれらの費用も発生するでしょう。マンションの状態やどれだけ手を加えるかによっても諸経費の額は変わります。
中古マンション売却で必要な書類
中古マンションの売却には、売買契約時、引渡し時、決済・登記時に、それぞれ書類や持ち物を準備する必要があります。準備に時間がかかるものもあるので、早めに準備をしておきましょう。
<売買契約>
必要書類・持ち物 | 取得先 | 必須かどうか(※1) |
媒介契約書 | 不動産会社が準備 | ◎ |
買付証明書 | 不動産会社が準備 | ◎ |
売買契約書 | 不動産会社が準備 | ◎ |
清算関係書類 | 不動産会社が準備 | ◎ |
鍵受領証 | 不動産会社が準備 | ◎ |
物件引渡し確認証 | 不動産会社が準備 | ◎ |
<引渡し>
必要書類・持ち物 | 取得先 | 必須かどうか(※1) |
固定資産税・都市計画税納税通知書 | 売り主が保有(毎年市区町村から送付) | 〇 |
設備のパンフレット・説明書・保証書など | 売り主が保有 | 〇 |
販売時のパンフレット | 売り主が保有 | 〇 |
管理費や修繕積立金の額が確認できるもの | 売り主が用意 | ◎ |
マンションの組合規約・会計報告や議事録の写しなど | 売り主が用意 | 〇 |
鍵 | 売り主が保有 | ◎ |
<決済・登記>
必要書類・持ち物 | 取得先 | 必須かどうか(※1) |
権利証(登記済証または登記識別情報) | 売り主が保有 | ◎ |
身分証明書(顔写真付き) | 売り主が保有 | ◎ |
実印 | 売り主が保有 | |
印鑑登録証明書 | 市区町村役所:300円 | ◎ |
固定資産評価証明書 | 市区町村役所:300~400円 | ◎ |
抵当権抹消書類 | 銀行が用意 | ◎ |
通帳・キャッシュカード | 売り主が保有 | ◎ |
委任状 | 司法書士が用意 | 〇(司法書士依頼時のみ) |
住民票の写し | 市区町村役場:300円 | △ |
第三者の許可書・同意書・承諾書 | 該当する第三者 | △ |
仲介手数料 | 売り主が用意 | 〇 |
司法書士への報酬 | 売り主が用意(※2) | 〇(司法書士依頼時のみ) |
※1:◎=必須、〇=原則必要、△=任意・必要時のみ
※2:抵当権抹消登記分(所有権移転登記分は買い主が負担)
中古マンションの売却で意識したいポイント
中古マンションをより高くスピーディーに売却するためには、いくつかのポイントがあります。ここでは売却成功のためのポイントについて解説します。
不動産会社選びに力を入れる
「家が近い」「名前を知っている」などのような、安易な理由で不動産会社を選んではいけません。
不動産会社にはそれぞれ特徴や強みがあるので、妥協せずに中古マンション売却に強く実績のある不動産会社を選びましょう。選ぶ際には以下の点に着目するのがおすすめです。
- 不動産会社の免許番号:宅地建物取引業の免許所有の有無や免許更新回数がわかる
- 中古マンションの取引実績:中古マンションに強い会社を選ぶ
- 査定項目:査定額の根拠がしっかりしているか
- 担当者の対応:マイナス面も含めて詳細を教えてくれる誠実な対応か
査定を依頼する際には、比較できるように必ず複数の不動産会社に査定依頼をしてください。
売れやすい期間を意識する
不動産を売却するなら、タイミングを見計らう必要があります。中古マンションを必要とする人が増える時期を狙えば、高くスムーズに売却を進められるでしょう。
転勤や異動、子どもの学校生活準備などが理由で、1年のなかでも2~3月が売れやすくなります。成約が多くなる時期を逃さないように12~1月には不動産会社を決定し、2月には不動産情報サイトや広告などに物件が掲載されるように準備を進めてください。
適切な価格設定をおこなう
売出価格は値下げ交渉があることを加味して、相場の価格に数十万円程度を上乗せするよいでしょう。
不動産売却ではほとんどの場合で価格交渉をおこなうため、売出価格はを相場より若干高めに設定するのが一般的です。
中古マンションの購入を検討している人は、複数の物件を見て回るため相場観が養われています。そのため「いい物件だけど高い」あるいは「あまりにも安い」のように、相場からかけ離れていると敬遠されてしまうでしょう。
中古マンション売却は余裕を持っておこなう
媒介契約を結んでから中古マンションの売却が成功するまで、少なくとも3ヵ月はかかります。売れにくい物件や値段を高めに設定した物件なら、なかなか売れずに1年以上かかるかもしれません。
特に、売却を急がなければならない状況にあると、次の購入希望者が現れるのを待てずに、売却価格や条件で妥協しがちです。気持ちに余裕を持つため、また、内覧で購入希望者に好印象を与えるためにも、余裕を持って早めに準備を進めましょう。
まとめ
中古マンションの売却を検討しているなら、後悔しない売却のためにさまざまな準備が必要です。相場観を養い、不動産会社を選び、手順に沿って売却までの長い道のりを進まなければなりません。提出しなければならない必要書類も多いので、流れや書類を把握して、早めに準備を進める必要があります。
不動産会社と媒介契約を結んでから成約まで、少なくとも3ヵ月はかかります。売れやすい時期やタイミングを見計らないながら、積極的に売却活動にのぞみましょう。
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