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一括りに親の土地を売るといっても、さまざまなケースがあります。親の土地をなんらかの理由で売らなければならなくなった際には、自分がどのケースに当たるのかを知り、適切な手順で手続きしなければなりません。
とはいっても「親が認知症で売却の許可が得られない」「親から生前贈与を受けるので一応自分の土地にはなるけれど、気を付けることはある?」など、心配は尽きないでしょう。
この記事では親の土地を売るケースをいくつか想定し、ケース別に解説しています。必要書類や売却の手順、発生する税金、売却時の注意点などについても触れているので、これから親の土地の売却を考えているのなら、スムーズな売却を進めるうえでの参考にしてください。
親の土地を売る理由は?ケース別の解説
ここでは以下の4つのケースについて、それぞれ解説をします。
- 相続して親の土地を売る
- 代わりに親の土地を売る
- 親の土地を贈与を受けて売る
- 親が判断ができないが代わりに売りたい
土地を売却する立場が違えば、必要な手続きや書類も異なります。自分がどの立場に当たるのかを知り、スムーズな売却に備えましょう。
相続して親の土地を売る
土地を相続すると、所有権が親から相続したほうに移ります。これは親が亡くなって相続する場合も、生前贈与の場合も同様です。
しかし所有権が移っても、親名義のままでは土地の売買契約を結べません。土地を売るためには、土地が自分のものであることを申請する必要があります。所有権移転登記をおこないましょう。
また相続人が1人ではなく、複数いる場合には法定相続、遺産分割協議、遺言相続のいずれかで資産を分割します。各分割法は、以下のとおりです。
- 法廷協議:法律に基づいて分与
- 遺産分割協議:相続人同士で協議して分与
- 遺言相続:故人の遺志(遺言状)に基づいて分与
複数人で分割した場合、売買できるのは所有分のみなので注意が必要です。
相続の必要書類
土地を相続しても親名義では売れないため、法務局にて相続登記をして名義の変更をおこないます。
相続登記には期限がありません。罰則もないのでついつい先延ばしにしがちですが、相続したら早めに手続きを行ったほうがよいでしょう。先延ばしにしたために名義変更に必要なものが紛失してしまったり、相続人が名義変更しないまま亡くなり次の相続人が苦労するケースがあります。
相続登記に必要な書類は以下のとおりです。分割方法に関わらず必要な書類は、太字にしています。分割法法によってそろえなければならない書類が異なるので気を付けましょう。
- 相続登記申請書
- 固定資産評価証明書
- 不動産の登記簿謄本
- 被相続人(親)の戸籍謄本(死亡の記載があるもの)
- 被相続人(親)の住民票か戸籍の除票(死亡時の住所が確認できるもの)
- 相続人の戸籍謄本
- 印鑑証明書(複数相続人がいる場合は全員分)
- 相続人の住民票(複数相続人がいる場合は全員分)
- 遺産分割協議書(協議があった場合)
- 遺言書(ある場合)
- 相続人がだれか証明できるもの(遺言書がない場合)
代わりに親の土地を売る
親から「土地を売りたいので、代わりに手続きなどしてほしい」とお願いされた場合、きちんとした手順を踏めば親の代わりに土地を売却できます。この際に必要となるのが、委任状です。
不動産会社を通して土地を売却する場合、買い主、不動産会社、司法書士などの第三者と関わります。いくら口で「親の代理です」といっても信ぴょう性が薄く、第三者はトラブルを回避したいために取引しないでしょう。そのため委任状を得て、代理人となる必要があります。
委任状を作成し代理人となれば、親本人に代わって値段交渉や引き渡し時期の条件交渉などを判断して対処できます。しかし土地は親のものであるため、売却利益を自分のものにはできません。あくまで代理であり、売買代金は土地を所有している親に対して支払われます。
代行するときの必要書類
親の代理人として土地を売却するためには、委任状が必要です。委任状に法律上の決まった規定はありません。委任状の項目は以下のものを入れるとよいでしょう。
- 権利者の署名
- 捺印
- 代理人の詳細
- 売買金額についての条件
- 引き渡し時期
- 手付金
- 契約についての条件など
ほとんどの場合不動産会社に委任状のフォーマットがあります。不動産会社に確認してみてください。委任状提出時には、印鑑証明をつけます。また偽造や追記をされないように、末尾に「以上余白」と入れて追記を防ぎ、作成後にコピーを取っておくのをおすすめします。
親の土地を贈与を受けて売る
親から生前に土地を譲り受けて売る場合、その土地はただで資産・財産をもらう「贈与」扱いとなります。注意しなければならないのは、贈与には贈与税がかかる点です。贈与税の算出は、以下の式でおこないます。
贈与財産の合計とは、1月1日から12月31日までの1年間の間に贈与された財産の合計です。贈与が複数ある場合は、合算してから計算式に当てはめてください。
計算式に入れる税率や控除額を一覧は以下のとおりです。
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | - |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超え | 55% | 400万円 |
“参考:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」”
また「自宅を取得したり、増改築するためにお金が必要」という理由で贈与を受けた場合、「住宅所得等資金贈与の非課税制度」が利用できます。該当する場合は贈与税を抑えられるので忘れずに活用しましょう。
贈与を受けるときの必要書類
生前贈与を受けて土地の名義を変更する場合は、法務局に申請書と必要書類を提出する必要があります。提出が必要な書類は以下のとおりです。
- 贈与契約書もしくは贈与証書
- 贈与する不動産の登記識別情報通知(権利証)
- 贈与する不動産の登記簿謄本(全部事項証明書)
- 贈与する人の印鑑証明書
- 贈与される人の住民票
- 固定資産評価証明書
親が判断ができないが代わりに売りたい
寝たきりや認知症で売却判断・手続きが難しい人を、制限行為能力者といいます。制御行為能力者とは、一人で法律行為が難しい人のこと。この場合子供は成年後見人として、親の代わりに土地の売却を進められます。
成年後見人になる方法は2種類あります。一つは制御行為能力者となる前に、親が将来を考えて任じておく任意後見制度。もう一つは、家庭裁判所によって任命される法廷後見制度です。
親が制御行為能力者の場合、本人のための売却であることが絶対条件です。土地を売って得たお金を、子供が自分の借金返済や家や車の購入に使ってはいけないと定められています。売却が本人のためかどうかの判断は、海底裁判所がおこないます。売却時には、裁判所からの許可を得ましょう。
成年後見人となる必要書類
法廷後見制度を利用して成年後見人となるために、まずは医師の診断書を取りましょう。「後見・補佐・補助」のどのレベルに親の状態があたるのか、診断書をもとに家庭裁判所が判断するためです。
診断書を含む、子供が親の成年後見人となるために必要な書類は以下の表のとおりです。
必要書類 | 取り寄せ先 |
---|---|
申し込み書類一式 ※家庭裁判所ごとにフォームが異なる。主な書類は以下のとおり
| 申請先の家庭裁判所(公式サイトからのダウンロードも可) |
戸籍謄本(親と子両方) | 各自治体の役場窓口 |
住民票(親と子両方) | 各自治体の役場窓口 |
後見登録されていない証明書(親) | 法務局 |
診断書、診断書附表 | 家庭裁判所・支部窓口 |
親の土地を売る手順
親の土地を売却する場合も、どのような立場で売却するかにより手順が異なります。ここではケースごとの売却の流れを解説します。
親の土地を相続して売る場合
親の土地を相続して売る場合の、簡単な流れは以下のとおりです。
- 死亡届の提出
- 遺言状の確認
- 遺言状に沿って相続、ない場合は法定相続か遺産分割協議をおこなう
- 相続登記(土地の名義変更)
- 不動産会社へ査定依頼をする
- 不動産会社と契約を結ぶ
- 土地の販売活動をおこなう
- 内覧対応や交渉をおこなう
- 買い主と売買契約を結ぶ
- 土地の売却を完了
親が亡くなったら、相続が始まります。まずは7日以内に死亡届を提出してください。次に遺言書の有無を確認します。遺言書があれば内容に沿って相続し、なければ法定相続か遺産分割協議をおこないましょう。
相続内容が固まったら、相続登記に必要な書類をそろえて法務局へ提出し、相続登記を完了させます。親名義から土地を相続した子供の名義に変更が完了したら、ようやく土地の売却準備が完了です。不動産会社を探し契約を結んで、土地の販売活動を開始してください。買い主が見つかったら売買契約を結び、土地の売却を完了させます。
親の土地を代行して売る場合
親の土地を代行して売る場合の、簡単な流れは以下のとおりです。
- 親とどのような条件で土地を売却したいのか話し合う
- 委任状を準備する
- 土地を売却する
親の代行として土地の販売をおこなう場合、委任状は必須です。委任状を作成するなかで、どのような条件で土地を売却するのか親とよく話し合っておきましょう。
不動産会社によっては、委任状のフォーマットをそろえているところもあるので、委任状作成前に不動産会社に相談するのも一つの手です。
委任状があれば、あとは通常の土地売却手続きと同様です。不動産会社を決定し、販売活動をしてもらいましょう。購入希望者が現れたら内覧対応や交渉をおこない、最終的に売買契約を結びます。
親の土地を贈与をされて売る場合
親の土地を贈与されて売る場合の、簡単な流れは以下のとおりです。
- 贈与の手続きに必要な書類を作成
- 法務局にて名義変更(所有権移転登記)をする
- 贈与税の申告をする
- 土地を売却する
生前贈与は片方が「あげたい」と思っても、受け取り側が「いらない」といえば成り立ちません。必ず双方の合意を得たうえで、贈与します。贈与をする際には口約束ではなく贈与契約書を作っておくと安心でしょう。贈与契約書は自分で作ってもよいですし、専門家に依頼しても構いません。
贈与を受けたら、法務局にて名義変更(所有権移転登記)の手続きをします。法務局に提出する書類を事前に準備しておかなければなりません。物件調査、税金確認、住民票やその他の贈与手続きに必要な書類の収集、贈与契約書の書類作成などがあります。自分でおこなうのが難しと判断するなら、司法書士に依頼するとよいでしょう。
手続きをおこなう法務局は、どこでもよいわけではありません。贈与された土地を管轄する法務局でしか手続きできないので、注意してください。
また贈与を受けた場合には、税務局にて贈与税の申告が必要です。申告時期は贈与された翌年の2月1日から3月15日の間です。贈与が完了したら、土地の売却手続きは一般的な流れになります。
成年後見人として親の土地を売却する場合
親が土地の売却判断ができない場合は、以下の手順で選任を受けて売却を進めます。
- 診断書や家庭裁判所への提出が必要な書類の準備
- 家庭裁判所から成年後見人の選任を受ける
- 不動産会社へ依頼
- 土地の売買契約
- 家庭裁判所から売却許可を得る
- 土地を売却
成年後見人として土地の売却に関わるためには、家庭裁判所から選任を受ける必要があります。まずは申し立てのために診断書を含む書類一式を準備しましょう。成年後見人として認められた後は、一般的な土地の売買方法とあまり変わりません。
しかし売却の際に、成年後見人になるための申立とは別に売却許可を得なければならないため注意しましょう。
[AFF_不動産売却_三井のリハウス]親の土地を売ると発生する税金とは?
親の土地を売却すれば、各種税金がかかってきます。ここでは相続税、譲渡所得税、贈与税、登録免許税、印紙税について解説します。
親の土地を相続したら相続税
親の土地を相続したときにかかるのが、相続税です。相続してから10ヵ月以内に、相続人自身が申告する必要があります。相続税というと高額な税金を思い浮かべるかもしれませんが、遺産総額よりも相続税の基礎控除額の方が大きくなるケースが多く、実際には多くの方が相続税の納付から免れています。相続税の基礎控除額の算出には、以下の計算式を使います。
「基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人 」
例えば配偶者と子供3人が法定相続人のケースでは、法定相続人が4人のため基礎控除額は5,400万円です。相続税は遺産総額から相続税の基礎控除額を引いた金額に、税率をかけて算出します。課税率は以下の表を参考にしてください。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | - |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超え | 55% | 7,200万円 |
“参考:国税庁「No.4155 相続税の税率」”
売却して利益があれば譲渡所得税
親の土地を売って利益が出た場合、譲渡所属税を納めます。算出方法には、以下の計算式を使います。
譲渡所得税={売買金額-(取得費+譲渡費用)}×税率
所得費は不動産を所得する際にかかった費用で、譲渡費用は売却にかかった費用です。また譲渡所得の税率は、土地の所有期間によって税率が変わります。税率を低く抑えるためには、土地を5年超で所有するとよいでしょう。短期譲渡所得税と長期譲渡所得の税率は以下のとおりです。
所得期間 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
短期譲渡所得(5年以内) | 30% | 9% |
長期譲渡所得(5年超え) | 15% | 5% |
“参考:国税庁「No.4155 相続税の税率」”
親の土地を貰ったら贈与税
親の土地を譲り受ける際には、贈与を受ける側が贈与税を支払います。贈与税の算出には、以下の計算式を使います
贈与税=(1年間の贈与金額-110万円)×税率-控除額
1年間に贈与された土地の評価額から110万円差し引いたものに税率をかけ、控除額を引くと贈与税が出ます。計算式に必要な数値は、以下の表を参考にするとよいでしょう。
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | - |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超え | 55% | 400万円 |
“参考:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」”
土地の名義変更にかかる登録免許税
代行や成年後見人として親名義で土地を売るのではなく、自分のものとして自由に売却するためには名義変更が不可欠です。名義変更は法務局にておこないますが、必要な登記には登録免許税がかかります。相続による移転登記の税率は下記の計算式で計算しましょう。
登録免許税=固定資産税評価額×0.4%
4%の税率は、相続の場合です。贈与の場合は税率が2%なので注意してください。また所有権移転登記は自分で行えますが、司法書士に依頼する方も多いです。司法書士に依頼する場合、司法書士への手数料がかかります。
“参考:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」”
売買契約に必要な印紙税
土地の売買契約書を交わす際にかかるのが、印紙税です。購入した印紙を用紙に添付することで、納税しましょう。印紙税は土地の売却金額によって、支払う金額が変わります。以下に印紙税額を表にまとめました。参考にしてください。
また平成26年4月1日から令和4年3月31日までは、軽減措置を適用できます。
契約金額 | 印紙税額 | 軽減措置後の印紙税額 |
---|---|---|
100万円超500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円超5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
“参考:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」”
親の土地を売るときの注意点
親の土地を売買する際は金額も大きく法律も関わってくるので、売買する前に知っておくべきことがあります。ここでは親の土地を売るうえでの、注意点を解説します。
無断で親の土地を売ることはできない
いくら親子であっても、親名義の土地を勝手に売ってはいけません。もし無断で契約した場合、契約自体が無効となります。親が寝たきりや認知症で判断力がない場合は成年後見人として、親から依頼された場合は委任状を作成して代行の手続きをとってからおこないましょう。親名義のまま土地を売却した場合は、売却で得たお金はすべて親のものとなります。
もしも土地の売却額を自分自身が使う予定ならば、売却前に土地を相続や贈与により受け取り、土地の名義変更する移転登記をしてから売却しましょう。
相続税は支払い期限がある
相続税は、被相続人が亡くなったことを知った翌日から10ヵ月以内に支払わなければなりません。もしも払わなかった場合は滞納扱いになり、無申告加算税や延滞税が加算される可能性があります。
また相続税を支払わないまま滞納を続けた場合、国税庁に財産を差し押さえられるかもしれません。少しでも早く、相続税の支払いを済ませたほうがよいでしょう。
相続税が払えないほど高額な場合、分割払いする延納や、財産そのものを納める物納という方法があります。延納や物納を希望する場合は、申告書の提出期限内に税務署から許可を得てください。
まとめ
親の土地を売りたい場合、親の名義のまま簡単には売れません。いくつか売却手段があるので、自分や親にとって最も良い方法を選択する必要があります。
また親の土地を売却する際には、税金も発生します。滞納すれば延滞金や差し押さえの可能性もあるので、気を付けてください。親の土地を売却する際にしなければならないことや注意点を把握し、トラブルなくスムーズに売却を進めましょう。
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