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不動産売買で委任状を活用!書き方から注意点までわかりやすく解説

不動産売買で委任状を活用!書き方から注意点までわかりやすく解説

「遠くの地域の不動産を売買したい」「しかし現地に行く時間が取れない」そういったときに活用できるのが、委任状を利用した代理人による手続きです。代理人に権利を代行してもらうことによって、自分本人が直接現地に赴かなくても売買を進めることができます。

しかしどのように利用できるのかは、馴染みがないという人も多いのではないでしょうか?思わぬミスであとから後悔するようなことのないように、どのような点に注意すればよいのでしょうか。

この記事ではそういった不安を解消するために、委任状の書き方の流れや、各種の注意点について解説します。また不動産売買で初めて委任状を使用するという人は特に紹介するポイントを把握して不動産売買を進めてください。

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不動産売買の委任状の基本

まず最初に、不動産売買において委任状とはどういう役割を持つのかという基礎部分について把握していきましょう。

委任状は文字どおり、他人に権利を委任するとても力の強い書類です。委任状の役割や使用できるシーンに加え、法的な責任関係はどうなっているのか、という複雑な点も絡みます。思わぬミスやトラブルを避けるためにも、委任状の利用においては理解は不可欠です。

委任状の役割とは

不動産売買において、委任状は売買取引の代理人に、その手続きを代理する権利があることを証明する書類です。人物Aから委任を受けた代理人Bは、人物Aの所有する不動産を売却する権利を持つ、というように、委任状をもった代理人がいれば、不動産の所有者が売買に直接関わらなくてもよくなります。

代理人を使用した取引では、代理人は取引相手に自身が代理人であることを明かさなければなりません。これを顕名行為と言い、その証明として委任状が必要なのです。

不動産売買においての代理人は任意代理人という区分の代理人であり、誰でもその役割を担うことができます。値引きなどの交渉についても、代理人の対応は本人の意思として扱われるため、その権利は非常に強いものになっています。

委任状が役立つ不動産売買

代理人を立てての不動産売買は、以下のような場面で活用できます。

  • 売買する不動産が遠くにある場合
  • 不動産売買の手続きをする時間がない場合
  • 物件の所有者が複数いる場合
  • 交渉や手続きを不動産売買に詳しい人に任せたい場合

遠隔地の物件に直接赴いて取引をするには時間や交通費がかかり、スケジュールもそのために調整しなければなりません。物件が遠い」「時間が取れない」といった際には委任状を作成し代理人を立てるとよいでしょう。

また、物件の所有者が複数存在している場合には全員が交渉や契約の場に立たなければならず、手続きも煩雑になります。このような場合にも代理人を用意することで一連の流れをシンプルにすることができます。

交渉や手続きに不安がある場合には、不動産売買に詳しい人を代理人に立てるのも選択肢の一つです。司法書士や弁護士、不動産売買に詳しい親族などに代理人を担ってもらえばより安心して売買の手続きを進めることができます。プロへ代理人を依頼する場合にはその報酬が必要になることには注意してください。

委任状が使えない不動産売買

未成年者と成年後被後見人は委任状と代理人を使用できません。判断能力がないと法的に判断されている人が委任状を作成し代理人を用意しても、その売買は認められないよう定められており、未成年者には成年と同様の法的な地位がなく、成年後認知症は知的障害、精神障害などの理由から、判断能力が不十分であると家庭裁判所から審判されているためです。

このように判断能力がないとされる人は自身での不動産売買も、代理人を使用した不動産売買もおこなえないようになっています。

これは正しい判断ができない状態で不利益な契約を結ばないようにするための措置です。そういった人々が不動産売買に関わる際にはまた別の代理人、本人の意思ではなく法律に基づいて任命される法定代理人がその役割を務めなければなりません。

委任状で指名した代理人と法的責任

代理人は本人の意思を代行する存在ですが、あくまでその権利は委任状による指定された範囲にのみに限定されていることに注意しましょう。

代理権のない、あるいは委任の範囲を逸脱した代理行為を無権代理と言います。代理人の行為は本人の行為と同等のものであると考えれていますが、無権代理では異なります。無権代理による契約は原則として無効化され、仮に所有者の意思に反して家を売る契約が結ばれても、本人はその家を売る必要はありません。

そのため、無権代理による契約トラブルによって賠償の必要性が発生しても、本人に賠償をおこなう法的責任はありません。ただし無権代理は基本的に無効とはいえ本人がその契約を追認した場合には契約が有効とみなされる場合もあります。

一方、取引相手にとっては相手が無権代理人であったら、契約を無効にされたことになるでしょう。この場合に相手を保護するために、表見代理という制度が存在しています。

表見代理は、代理人の任命者に落ち度(無権代理でありながら代理人として振る舞わせたなど)があり、なおかつ無権代理であることが相手側にはわからなかった場合に成立します。表見代理が認められた場合には、この賠償を代理人ではなく本人が背負う必要があります。

【決まったひな形がない】不動産売買の委任状の書き方とは

代理といっても何もかもを任せるわけではありません。代理人による取引は通常の不動産取引と同じ効力を持っているため、委任状には代理人を定めるもののほかに取引に関する項目を明確に記す必要があります。この項目では、不動産売買の委任状の書き方について解説していきます。

委任状には不動産会社によって雛形が用意されている場合がありますが、法的に定められたひな形は存在していません。記載漏れがあった場合には手続きが滞ることもあるため、書類作成はしっかりとおこなっておきましょう。

不動産売買の委任状に盛り込む内容

不動産売買の委任状には、まずは以下の項目が必須です。

  • 序文に代理人を定める旨
  • 土地や建物の表示項目(住所や住宅の種類など)
  • 売買の条件(売却価格や引き渡し予定日など)
  • 委任の有効期限
  • 禁止事項
  • 文末に「以上」と終了を示す
  • 委任者と代理人の名前の署名

代理人を定義する文章はもちろん、取引する不動産の表示項目や売買条件がなければ不動産取引ができません。これらの記載に漏れがないように、委任状の作成前に表示項目や自分の希望などをまとめて用意しておきましょう。

委任の有効期限と禁止事項で、代理人の権利と期間を定めることも必須です。期間や権利を越えておこなわれる代理行為は、先ほど紹介したような無権代理として扱われます。文末の「以上」も、第三者による追記とそれを原因とするトラブルの回避のために必要です。最後に委任者と代理人の名前を署名し、責任の所在を明らかにしましょう。

不動産売買向け委任状の例

前項の記載項目を踏まえると、委任状はこのような形式の書類になります。

 

委任状

委任者AはAを代理人として定め、下記の条件において下記不動産の売買契約を結ぶ権限を委任します。

1. 売買物件の表示項目

(土地の名前)
所在:--県--市
地番:--番--号
地目:宅地
地積:--平米

(建物)
所在:--県--市--番--号
種類:居宅
構造:木造2階建
床面積:1階--平米
    2階--平米

2.売却の条件
(一)売却価格:金--円
(二)手付金額:金--円
(三)引き渡し予定日:--年--月--日
(四)契約解除時の違約金額:売却価額の--%相当額以上、協議のうえで決定とする。
(五)公租公課の分担起算日:引き渡し日
(六)金銭の取扱い:(当事者間で定めた取り扱いを記載)
(七)所有権移転登記申請手続き:(所有権移転登記はどのようなプロセスで勧めるのかについて説明)
(八)そのほかの条件:定めのない項目や履行に変更が発生した場合には、その都度に協議のうえで決定とする。

3.委任状の有効期限:--年--月--日

4. そのほかの条件:本件の売買契約に用いる契約書の書式は別添の契約書を使用する。それ以外の事項につおいて上記売却条件に定めのない事項および上記売却条件の履行に変更が生じた際は、その都度に協議のうえで決定とする。

以上

--年--月--日

委任者
住所:--都--区--番--号
氏名:-- --

代理人
住所:--県--市--番--号
氏名:-- --

このサンプルのように委任状を作成しましょう。

委任状に添付が必要な書類一覧

委任状にはそれ単体では効力を発揮しません。効力を持たせるためには、印鑑証明書や実印といった身分証明に関する書類が必要になります。この際に本人と代理人で求められる書類が異なります。以下の表に各人に必要なものをまとめました。

本人代理人
  • 印鑑証明書
  • 実印
  • 住民票の写し
  • 印鑑証明書
  • 実印
  • 運転免許証など本人確認可能な身分証明書

印鑑証明書や住民票の写しは、発行の日から3ヵ月以内のものでなければ効力がありません。新しい書類がない場合には市区町村役所で発行してもらいましょう。

作成する委任状で後悔をしないポイント

本人の権利を代理人に委任する、ということには法的に大きな意味があります。あいまいな委任ではトラブルの原因にもなりかねないため、注意事項に関しては事前に把握しておきましょう。

この項目では、委任状と代理人で後悔しないためのポイントについて解説していきます。

代理人には専門家への依頼も検討

任意代理人は誰でも任命することができますが、不動産売買には大金が動くため、信頼できる人に委任したほうがよいでしょう。信頼のおけない人物、ふさわしくない人物に依頼をおこなってしまえば思わぬトラブルの原因にもなりかねません。

トラブルを回避するためには、プロである弁護士や司法書士への依頼をおすすめします。不動産の問題に詳しい弁護士に依頼をすればより一層安心です。

委任する内容は限定

権限を拡大解釈されてしまうとトラブルの原因になります。代理人の権限に定めのない白紙委任状などは危険なものになってしまうため、使う言葉や権限の定義などには気をつけて委任する条件を記載しましょう。

委任内容が明確で限定できな委任状であれば、トラブルの種は少なくなります。委任状を渡した時点で代理人は権限を持つので、正確な委任状を作成することが肝心です。

代理人との連絡手段を維持

不動産売買を任せきりにすることは避けましょう。常に緊密な連絡手段を維持し、進捗状況を定期的に確認するほうが安全に売買を進められます。こまめに報告を受けるようにしておき、自分の意思と異なる部分がないか注意が必要です。

また、代理人に委任された内容を超える状況では、本人に判断を仰ぐ必要があります。本人と代理人の間で連絡が持てないと売買が滞ってしまうため、スムーズな取引のためにも確かな連絡手段を用意しておきましょう。

ハンコは実印以外を使わない

委任状には役所に登録した実印でハンコをし、印鑑証明書を添えるようにしましょう。実印以外では売買の相手に不信感を与えるおそれがあるだけでなく、第三者による改ざんを受けてしまう恐れもあります。

三文判(安価な印鑑)でも作成は可能ですが、より偽造のしにくい品質かつ実印として登録をした印鑑を使用するようにしましょう。

売買相手には代理人が対応することを事前に連絡

委任状と代理人は便利な取引ですが、これを利用した詐欺・犯罪が起こりうることもまた事実です。

委任状を偽造し、本人の意思とは関係のない代理人が勝手に不動産取引を進めることは一般的に考えられる範疇のリスクだといえるでしょう。事前連絡なく委任状をもった代理人が現れれば、取引相手は警戒をするかもしれません。

売買する相手に不信感を抱かれないために、代理人が対応をおこなうことを事前に通知しておきましょう。

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委任状なしで不動産売買の手間を省く方法

代理人を使用したい状況はさまざまですが、場合によっては委任状と代理人を使用しなくても対応できる場合があります。この項目では、不動産売買に困難がある際に使用できる、委任状以外の選択肢を紹介していきます。

遠方の不動産売買に持ち回り契約

遠くの地方の不動産を取引する際には、持ち回り契約という売買契約書を売り主、不動産会社、買い主の三者間で郵送する方法を使用できます。郵送で送られてきた書類にサインをして取引を進めていく方式で、郵送を使用するため時間は少々かかりますが、自身が現地に行く必要がありません。

委任状や代理人の使用に不安がある場合には、持ち回り契約の利用も考えておきましょう。

不動産売却は買い取り業者を利用

不動産売買に時間がかかるのは、売り主と不動産会社と買い主の三社関係があるからともいえます。そこで取引に時間を使っていられない場合には、不動産会社が直接その物件を購入する買い取りを利用するとよいでしょう。

買い取りは不動産会社が売り主と買い主を結びつける仲介とは異なり、買い主を探す時間が必要ありません。

ただしすばやく不動産を手放すことができますが、売却額は仲介時よりも少ないものとなってしまいます。多少売却額が下がっても手早く物件を手放したい場合には、不動産の買い取りの利用を検討しましょう。

不動産売買の委任状で気になる疑問

不慣れな委任状作成には不安がつきものです。どのように書けばいいのか、相談はできるのかなど、疑問に思うことも多いでしょう。この項目では委任状の作成にあたって頻発する疑問をピックアップし、Q&A方式で紹介していきます。

委任状の有効期限の目安は?

委任状に法的に定められたひな型がないように、その任命期間にも法的に定められたものはありません。任命者の判断によって自由に任命期間を定めることができますが、これはトラブルの原因にもなりかねません。代理人の権限を意図しないかたちで使用されることを防ぐために、その期間については厳格に定めておくことをおすすめします。

例えば、3ヵ月以内の委任や、委任内容の達成までを期間に定めているケースが一般的です。緊急時には委任を停止できるような条項を委任状に盛り込んでおくと、急なトラブルにも対応可能です。

委任状への代筆は可能か?

やむをえない場合には代筆による契約が有効になります。骨折などの傷病、障がいなどの身体的な理由で筆記がおこなえないといったケースが対象です。

もちろん本人の承諾が前提であるため、偽造とならないよう記載内容については隅から隅まで確認しておかなければなりません。

作成する委任状は手書きでもよいか?

パソコンで作成しなければならない、あるいは手書きでなければならないというルールはありません。自分にあったかたちで作成をおこなうことができますが、偽造には気を付けなければなりません。

手書きをする場合には、どのような筆記用具で記載するのかという点が重要になってきます。鉛筆やシャープペン、フリクションボールペンなど、文字を消せるものは偽造をおこなわれる可能性が高くなってしまいます。そのため、油性のボールペンなど、文字を消しにくい筆記用具を使用することをおすすめします。

委任状の必要性はどこに相談?

不動産売買には、仲介で不動産会社を利用するケースが多いため、まずは不動産会社に相談してみるとよいでしょう。不動産会社探しは、売買したい物件を査定するときに一緒におこなうことをおすすめします。

一括査定を使用すれば、複数の会社の平均値から物件の相場を割り出しやすいだけでなく、自分にあったサービスのある不動産会社を探すことにもつながります。売買で利益を得るため、良質なサポートを受けるためにも、物件の売買を考えている場合にはまず一括査定からはじめることをおすすめします。

まとめ

委任状と代理人を利用した不動産売買はとても便利ですが。その権限を与える範囲を事前に定めておく必要があります。委任状に記載の漏れがないよう必要事項を把握しておき、代理人との信頼関係も確かなものとしておきましょう。

作成に不安が疑問がある場合にはまず不動産会社に相談をおこない、代理人を使用するのかどうかの段階から行動の方針を立てるようにしましょう。

不動産取引にはさまざまな専門知識が絡みますが、自分で可能な範囲で情報を調べつつ、プロの力を借りることでより安心して手続きを進めることができます。委任状を利用した不動産売買でもそれは同じです。内容が正しいか厳重にチェックした委任状で不動産売買を代理人に依頼し、不動産売買を進めていいきましょう。

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この記事の著者
駅探PICKS編集部
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