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所有権移転登記をするには?費用や手続き方法について解説

所有権移転登記をするには?費用や手続き方法について解説

不動産を購入したり、相続・贈与を受けた人は所有権移転登記が必要です。しかし、多くの人にとって不動産の購入や相続・贈与は人生のうちに何度もあるものではありません。登記とはどのような手続きなのか、どれくらいの費用がかかるのかなど、不安を感じている人も多いのではないでしょうか。

そこで、本記事は所有権移転登記に必要な書類、費用、手続き、手順、注意点について詳しく解説します。最後まで読み進めれば、所有権移転登記について理解できるようになるでしょう。

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所有権移転登記とは?

はじめに、所有権移転登記とはどのようなものなのか、登記手続きをしないとどのようなことが起こりえるのかを紹介します。

所有権移転登記は相続や売買に必須

所有権移転登記とは、不動産の相続や売買などの際に、所有権が誰のものであるのかを法的に明確にするための手続きです。

相続では親から子などへ、売買では売り主から買い主へ不動産が譲渡されます。その際は鍵を渡すなどの物理的な手続きだけでなく、どの不動産がどの人物に受け渡されたのかを、法務局にある登記簿に不動産の面積や住所、所有者などの情報を登録します。

所有権移転登記をおこなわないとどうなる?

所有権移転登記をしなかった場合、次のようなトラブルが起きることが考えられます。

  • 売却するときに、買い主側から「この不動産はほんとうにあなたのものなのか」と疑われ、取引を断られる
  • 将来的に相続人が増えて、子や孫たちが処分などができなくなる
  • 第三者が「この不動産は自分のものだ」と言いだした場合でも、法的に自分に所有権があると主張できない(民法第177条) など

現状では所有権移転登記は義務化されていないため、あえて登記をしないという選択肢がないわけではありません。しかし、上記のようなトラブルが起こさないようにするため、所有権移転登記の手続きをとり、常に登記簿上の所有者を現状の所有者で登記しておくことが大切です。

なお、相続に関する所有権移転登記は、2024年4月1日から義務化されます。

”参考:法務省「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)」”

所有権移転登記にかかる3つの費用

所有権移転登記には、主に次の3つの費用がかかります。

  • 登録免許税
  • 司法書士報酬
  • 必要書類の取得費用

ここでは、それぞれの税率やおおよその費用などを解説します。

登録免許税

登録免許税の金額は、不動産の固定資産税評価額と所有権移転のケースによって税率が変わります

住宅を購入した場合は、軽減税率が適用されるので、あてはまるかどうか確認しましょう。

なお、新築住宅を購入した場合、建物の登記は所有権移転登記ではなく、所有権保存登記になります。

 所有権移転登記の税率
所有権保存登記の税率
土地
建物
建物(新築住宅用家屋購入)
本則軽減措置本則軽減措置本則軽減措置
相続0.4% 0.4%   
贈与2% 2%   

売買

2%1.5%

2%

  • 一般住宅:0.3%
  • 長期優良住宅(マンション):0.1%
  • 長期優良住宅(戸建て):0.2%
  • 低炭素住宅:0.1%
  • 特定の増改築などがされた住宅用家屋:0.1%
0.4%
  • 一般住宅:0.15%
  • 長期優良住宅:0.1%
  • 低炭素住宅:0.1%
  • 特定の増改築などがされた住宅用家屋:0.1%

※軽減税率の適用は、土地は2023年3月31日まで、建物は2024年3月31日まで

“参考:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」/法務局令和4年4月1日以降の登録免許税に関するお知らせ」”

例えば、土地つき中古戸建ての長期優良住宅を購入し、固定資産税評価額が土地3,000万円、建物1,000万円である場合は、次の計算式で計算します。

・土地:固定資産税評価額3,000万円×軽減税率1.5%=45万円
・建物:固定資産税評価額1,000万円× 軽減税率0.2% =2万円
・登録免許税額:土地45万円+建物2万円 =47万円

司法書士報酬

所有権移転登記は、法務局の手続きの専門家である司法書士に依頼することが一般的です。

司法書士の職能団体である司法書士会では報酬額の基準を定めないため、報酬額は司法書士事務所によってそれぞれですが、1件あたり5万円が相場といわれています。ただし、相続の場合は手続きが複雑化するため、相続財産の全体額や相続人数によって報酬額が変わることがあります。

司法書士に依頼する場合は、状況を伝えたうえで、どれくらいの費用がかかるのかを見積もってもらいましょう。

必要書類の取得費用

所有権移転登記をする際は、印鑑登録証明書や住民票の写しなどが必要であり、それらの取得費用(発行手数料など)がかかります。

金額はケースによって異なりますが、2千円から1万円程度はかかると見込んでおいてください。具体的には次章で解説します。

上記のほか、不動産を現地調査するための調査費、現地調査や関係先などを訪問するための交通費、書類をやり取りするための郵便代などがかかります。

所有権移転登記の必要書類とその取得費用

所有権移転登記では手続きに必要な書類を用意するための費用、いわゆる実費がかかります。ここでは、登記手続きに必要な書類と取得方法、実費の金額について解説します。

共通で必要な書類と費用

不動産の相続、贈与、財産分与、売買に共通して必要となる書類は、次のとおりです。

書類名取得先費用など
登記事項証明書法務局/オンライン1通480~600円
固定資産評価証明書市区町村役場/コンビニ交付1通200~400円程度
住民票の写し市区町村役場/コンビニ交付1通300円程度
印鑑登録証明書市区町村役場/コンビニ交付1通300円程度
本人確認書類
登記原因証明情報司法書士に依頼した場合:5,000~10,000円程度

登記事項証明書

いわゆる権利証(登記済権利証)と呼ばれる書類です。所有権移転登記前の所有者の情報を法務局に示すために必要な書類です。

売買、贈与、財産分与の場合は、前所有者(売り主など)が用意します。権利証か登記識別情報通知書(12桁の登記識別情報が記載)が前所有者の手元にあるはずですが、もし見当たらない場合は、前所有者に登記事項証明書を取得しておいてもらいましょう。

登記事項証明書は、法務局やオンラインで入手可能です。手数料は次のように方法と受取場所でに異なります。

  • 法務局で申請して受け取る場合:600円
  • オンラインから手続きして郵送してもらう場合:500円
  • オンラインから手続きして法務局で受け取る場合:480円

手数料を抑えたい場合や、仕事な多忙などで法務局に直接出向くことできない場合は、オンラインでの手続きがおすすめです。登記ねっと登記事項証明書/地図・図面証明書の交付請求から手続きをしましょう。

相続の場合は必須ではありませんが、司法書士に手続きを依頼する場合は資料として求められることがあるので、用意しておきましょう。

“参考:法務局登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です」”

固定資産評価証明書

登録免許税の金額を計算するときに必要な書類です。

最新の固定資産評価証明書を不動産が所在している市区町村の役所・役場に交付申請をしましょう。

交付手数料は各自治体で異なりますが、1通200~400円程度です。 不動産1件につき証明書1枚というかたちになるので、例えば土地付き住宅の場合、少なくとも土地と建物それぞれ1枚、合計2枚以上は必要になります。

市区町村によっては、マイナンバーカードがあればコンビニエンスストアなどのマルチコピー機から取得でき、手数料が窓口交付よりも安くなることがあります。お住まいの市区町村がコンピニ交付をしているか調べてみましょう。

”参考:コンビニ交付に関する情報(コンビニエンスストア等における証明書等の自動交付(コンビニ交付)ホームページ)

住民票の写し

前所有者と新所有者の現住所を示すために必要な書類です。

現住所がある市区町村の役所・役場で交付してもらえます。固定資産評価証明書と同様、コンビニ交付をしている自治体もあります。

必ずマイナンバー記載なしの住民票を交付申請をしてください。マイナンバーが書かれていると法務局で受け付けてもらえません。

前所有者の住民票の写しについては、前所有者の現住所が所有権移転前の登記記録に記載されている住所と同じ場合は必要ありません。住民票の写しには、現住所と現住所に転居する直前の住所が記載されています。

前所有者が複数回転居している場合は、すべての履歴が記載された戸籍の附表が必要になることもあります。前所有者に本籍がある市区町村の役所・役場で取得してもらいましょう。

住民票の写しや戸籍の附票の交付手数料は1通300円程度です。郵送請求も可能ですが、手数料を郵便定額小為替で支払う形となり、郵便局への手数料が為替1通200円かかります。

印鑑登録証明書

売買・贈与・財産分与の場合、前所有者が所有権の移転に同意していることを示すために必要な書類です。申請書類または司法書士への委任状に実印で捺印し、印鑑登録証明書を添付します。

相続の場合は、不動産を相続する人だけでなく、兄弟などの相続人全員の証明書が必要になる場合があります。

住民票の写しの同様、現住所がある市区町村の役所・役場の窓口か、コンビニ交付で発行してもらいましょう。登記申請日より3ヵ月以上前の証明書は法務局で受け付けてもらえないので、注意してください。交付手数料は1通300円程度です。

本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)

司法書士に登記を依頼する場合に、司法書士が本人確認をするために提示を求められます。

運転免許証やマイナンバーカードなど、公の機関が発行した顔写真付きの証明書が基本ですが、持っていない場合は依頼する司法書士に確認しましょう。

登記原因証明情報

不動産の登記申請をするときは、登記原因証明情報という登記の理由などを記した書類を作成し、法務局に提出する必要があります。

贈与の場合は贈与契約書、財産分与の場合は財産分与協議書、売買の場合は売買契約書をもとに作成します。相続の場合は、相続関係説明図や遺産分割協議書などの書類そのものを登記原因証明情報とすることも可能です。

司法書士に作成を依頼することもできますが、作成費の相場は1通につき5,000~10,000円程度です。自分で登記手続きをする場合は、法務局がインターネット上にアップしている記載例を参考にして、自分で作成するのもよいでしょう。

記載例へのリンク先はそれぞれのケースのところで貼ってあります。

相続の場合に必要な書類と費用

相続の場合は、上記の共通であげた書類のほかに、次のような書類が必要です。

書類名取得先費用など
故人の戸籍謄本など故人が誕生してから死亡するまでの各本籍地の市区町村の役所・役場1通450~750円程度
相続人全員の戸籍謄本・抄本各相続人の本籍地の市区町村の役所・役場1通450円程度
相続関係説明図
遺言書/遺産分割協議書/調停調書/審判書調停調書・審判書は家庭裁判所
  • 遺言書の検認:1通につき800円~
  • 調停・審判:被相続人1人につき1,200円~

被相続人の戸籍謄本など

被相続人(故人)が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)、除籍謄本(除籍全部事項証明書)、改製原戸籍謄本を取り寄せ、法定相続人(配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹)を確定させます。

故人の本籍地がある(あった)市区町村の役所・役場に交付申請をします。交付手数料は1通450~750円程度です。住民票の写しと同様、郵送請求も可能です。

相続人全員の戸籍謄本・抄本

相続人全員の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)または戸籍抄本(戸籍個人事項証明書)を入手し、間違いなく相続人であること(故人が亡くなったときに相続人が生きていたことこと)を示します。

故人の戸籍証明は謄本でなければなりませんが、相続人の戸籍証明は抄本でも構いません。謄本は戸籍に記載されている全員についての証明で、抄本は戸籍に記載されている一部の人についての証明です。故人の戸籍謄本に記載されている人の分の戸籍謄本・抄本は提出を省略できます。

各相続人の本籍地がある市区町村の役所・役場に交付申請をします。交付手数料は1通450円程度です。故人の戸籍謄本と同様、郵送請求も可能です。

相続関係説明図

故人と相続人の関係を示す家系図のようなものです。決まった書式はありませんが、法務局でテンプレートを用意しているので、それを利用して作成するとよいでしょう。

”参考:法務局「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」”

遺言書がある場合:遺言書

故人の遺産をどのように分け合うかは、まずは故人の遺志、すなわち遺言書が優先されます。

現在多くの人びとに利用されている遺言書の方式は、公正証書遺言自筆証書遺言の2つがあげられます。

公正証書遺言は、故人が生前に公証役場の公証人に作成・保管をしてもらった遺言書のことです。そのまま登記原因証明情報として添付できます。公証役場に公正証書遺言が保管されていないか確認しましょう。

一方、自筆証書遺言は、故人が生前に自筆で記述・署名・捺印した遺言書です。法務局に保管の有無を確認し、保管されていないことが確認できたら、自宅などを探します。

遺言書が見つかったら、開封せずにそのまま家庭裁判所に持参し、検認手続きを申し立て、検認調書を発行してもらう必要があります。検認にかかる費用は、遺言書1通につき800円と郵送料です。

法務局に保管されていた場合は、検認手続きは不要です。

”参考:裁判所「遺言書の検認」”法務局「自筆証書遺言保管制度について」”

遺言書がない場合:遺産分割協議書

故人が遺言書を遺さず、相続人が複数いる場合は、相続人全員が集まって遺産をどのように分け合うかを話し合い、話し合った結果を遺産分割協議書にまとめる必要があります。

遺産分割協議書の記載例を法務局が用意しているので、それを参考してみて作成しましょう。協議書ができあがったら、相続人全員が署名・実印で捺印します。印鑑登録証明書の添付も必要です。

”参考:法務局「遺産分割協議書の記載例」”

遺産分割協議がまとまらない場合:調停調書または審判書

遺産の分け方について相続人同士で話がまとまらない場合は、家庭裁判所の調停委員会が間に入って話し合う遺産分割調停を申し立てます。また、調停をしても話がまとまらない場合は、裁判官が遺産の分け方を決める遺産分割審判を申し立てる必要があります。

調停・審判にかかる費用は、調停・審判それぞれで被相続人(故人)1人につき1,200円と郵送料です。

なお、調停や審判に至った場合は、戸籍謄本などを家庭裁判所に提出するので、法務局提出用としてあらためて取り寄せをし直す必要はありません。

贈与・財産分与・売買の場合に必要な書類と費用

ケース書類名費用など
贈与贈与契約書収入印紙代200円~
財産分与財産分与協議書収入印紙代1,000円程度~
財産分与戸籍謄本1通450円程度
売買不動産売買契約書収入印紙代1,000円程度~

贈与の場合:贈与契約書

贈与する側(贈与者)と贈与を受ける側(受贈者)の間で取り交わす贈与契約書も法務局が記載例を用意しています。それを参考にして作成してみましょう。

不動産の無償贈与契約書には200円の収入印紙を貼る必要があります。仮に契約書のなかに不動産の評価額など書いた場合でも、その金額は取引金額ではないので、収入印紙の額面には影響しません。

なお、不動産を贈与する代わりに住宅ローンの残債を負担する、というようなケースは、負担付贈与といいます。この場合は、売買や交換と同じ扱いになるため、取引金額に応じた額面の収入印紙を貼る必要があります。

”参考:法務局「贈与契約書の記載例

財産分与の場合:財産分与協議書

離婚にともなう財産分与の約束ごとを文書化した財産分与協議書についても、法務局が記載例を用意しています。

財産分与協議書は、財産の価額に応じた額面の収入印紙を貼ります。

財産分与の場合:離婚日が記載された戸籍謄本

離婚届が提出された日が書かれている戸籍謄本が必要です。本籍地がある市区町村の役所・役場に交付申請をします。

売買の場合:不動産売買契約書

売買契約書は、通常は不動産会社が用意してくれるので、当事者同士であらためて作成する必要はありません。

売買の場合、所有権移転登記の費用は新しい所有者である買い主が負担することが一般的ですが、収入印紙代など双方がかかわる費用は折半することもあります。

”参考:法務局「財産分与協議書の記載例

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所有権移転登記をするまでの流れ

所有権移転登記は以下の手順でおこないます。

  1. 必要書類を用意する
  2. 申請書を記入する
  3. 所有権移転登記を申請する
  4. 所有権移転の完了

ここでは、それぞれの項目について解説しましょう。

1.必要書類を用意する

まずは各ケースに対応した必要書類の用意をしましょう

書類はすぐに窓口で入手できるものだけでなく、ある程度時間がかかることもあります。印鑑登録証明書のように3ヵ月以内のように有効期限が決められているものもあります。売り主・買い主で用意する書類が異なることもあります。

それらのことに注意しながら「区役所で入手する書類は○○と○○で、●●の時期にまとめて申請する」というように、計画的に用意するのがおすすめです。

2.申請書を記入する

書類の準備を進めながら、所有権移転登記の申請書に記入をしましょう。

申請書は、法務局の不動産登記の申請書様式についてのページからダウンロードできます。申請書は売買、贈与、財産分与の3つにフォーマットが分かれているので、間違いのないように注意してください

記載例を見ながら、記入するのがおすすめです。

”参考:法務局「不動産登記の申請書様式について

3.所有権移転登記を申請する

書類が用意できたら、法務局の窓口またはオンラインで申請しましょう。

窓口申請の場合は、不動産の所在地によって所轄の法務局が決まっているので、ホームページなどで確認しておきます。

受付は平日の午前8時30分から午後5時15分までです。昼休み(午前11時45分~午後1時45分)は混雑するのでできれば避けたほうがよいでしょう。閉庁時間間近や混みあっている場合も、処理が翌日になることもあるので注意が必要です。

オンライン申請は、申請用総合ソフトをダウンロードし、平日の午前8時30分から午後9時までの間に、登記ねっと供託ねっとから手続きをします。

4.所有権移転の完了

申請の審査が完了すれば、1~2週間程度登記完了証登記識別情報が届きます。これによって所有権移転登記が完了したことになります。

登記完了証とは今回どのような登記がされたのかが記載された書類で、登記識別情報はかつての権利証(登記済証)と同じ位置づけの書類です。いずれも大切な書類ですので、他者に見つからず、かつ、紛失しない場所に保管しましょう。

所有権移転登記費用を安く済ませるコツ

登記費用を抑えたい場合は、次の2つのポイントを実践してみましょう。

  • できるだけ自分で登記手続きをする
  • 司法書士の紹介料が含まれていないか確認する

できるだけ自分で登記手続きをする

手間や勉強を惜しまず、時間的にも余裕がある場合は、登記手続きを司法書士に頼まず、自ら手続きすることをおすすめします。

登記費用の大部分は、法務局に払う登録免許税と、司法書士に依頼した場合に支払う司法書士報酬からなります。登録免許税のほうは節約できないため、費用を安く抑えるとすれば司法書士報酬のほうを削るしかありません。

司法書士に頼めば、段取り良く、速く、確実に手続きをしてくれるのは間違いありません。

しかし、これまで紹介してきたように法務局のホームページには記載例が紹介されていますし、手続きを進めていてわからないことがある場合は、電話で予約をすれば法務局職員が質問に答えてくれます(例:東京法務局)。

自分で実際に手続きをすることによって、登記の仕組みを知っておくことは、自分の大切な財産を守るうえでも大切なことです。

司法書士に依頼したほうがよいケース

ただし、次の場合はお金がかかってでも司法書士に依頼したほうがよいでしょう。

  • 登記をしなければならない不動産がたくさんある
  • 遺産分割の内容が複雑
  • 故人より以前の世代から名義変更(所有権移転登記)がされていない
  • 相続人同士が疎遠・不仲 など

司法書士の紹介料が含まれていないか確認する

司法書士の紹介料(名目は異なっても実質的に紹介料とみなされるものを含む)のやり取りは、法律などで厳しく禁じられています(司法書士法第23条、司法書士法施行規則第26条、司法書士倫理第13条)。

不動産を売買した場合、仲介した不動産会社やローンを借り入れた金融機関から司法書士の紹介・指定されることが一般的ですが、不動産会社などからの請求に司法書士の紹介料が含まれていたら注意が必要です。

ただ、不動産取引に慣れていない人には見抜くことが難しいと思われます。そこで、防御策として適正価格なのかを確認しましょう。所有権移転登記に関する司法書士報酬の相場は5~6万円程度といわれています。

ただし、相場の金額は地域などによって差があります。複数の司法書士事務所に見積もりを依頼し、比較・検討するのもよいでしょう。

所有権移転登記の注意点

所有権移転登記をおこなう際には、次の2点に注意しましょう。

  • 所有権移転登記はできるだけ早めに
  • 相続で「とりあえず共有名義」は禁物

所有権移転登記はできるだけ早めに

もし自分で登記手続きをするのであれば、計画的に必要書類の準備をして、引き渡しがあったらすぐ登記手続きができるようにしておきましょう。

例えば不動産売買の場合、代金の精算、所有権移転登記、物件の引き渡しは同時におこなうのが通常です。所有権移転登記はそれほど急いでしなければならない手続きです。

登記手続きが遅れてしまうと、第三者が所有権を主張してきたときに法的に対抗できず、最悪の場合、その第三者に所有権が奪われてしまう恐れもあります。

すぐに手続きができないような場合は、司法書士に依頼したほうがよいでしょう。

相続で「とりあえず共有名義」は禁物

複数人で不動産を相続をした場合、遺産相続の話し合いがまとまらないため「相続税の申告期限もあるので、とりあえず共有名義にしておこう」と考える人もいるかもしれません。

しかし、不動産を共有名義にすると、次のようなトラブルが起こる恐れがあります。

  • 共有名義にした不動産の取り扱い方針をめぐって、相続人同士でもめる
  • 税金や維持管理費の負担する人に偏りが出て、相続人同士でもめる
  • トラブルが解決できないまま相続人が亡くなると、権利関係がさらに複雑化する

上記のような場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。

なお、相続税の申告期限は、被相続人(故人)が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内です。

まとめ

所有権移転登記は、不動産の所有権が誰から誰に移動したのかを法的に明らかにする手続きです。

登記にかかる費用は登録免許税が中心で、これに司法書士報酬などが加わります。不動産会社や金融機関が紹介・指定する司法書士ではなく、自分が探して選んだ司法書士に依頼したり、司法書士に依頼せずに自分で登記手続きをすれば、費用を抑えられるでしょう。

しかし、所有権移転登記が遅れてしまうと、第三者が所有権を主張しはじめても法的な対抗はできません。できるだけ急いでするべき手続きです。

特に、遺産分割の内容が複雑である、故人より以前の世代から名義変更がされていないなどの場合は、お金がかかってでも司法書士に依頼することをおすすめします。また、相続人同士で遺産分割協議がまとまらない場合は、安易に共同名義にせずに、弁護士に相談してください。

本記事を参考にして所有権移転登記の概要を理解し、所有権をめぐるトラブルを回避しましょう。

[AFF_不動産売却_三井のリハウス] [不動産売却_内部リンク]
この記事の著者
駅探PICKS編集部
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