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土地の確定測量にかかる費用は?相場よりも高くなるケースを解説

土地の確定測量にかかる費用は?相場よりも高くなるケースを解説

確定測量は隣接地との境界線が曖昧で土地の面積がわからないときに、境界確認のために隣接地所有者の立ち会いのもとでおこなう測量のことです。

土地の売買や建物を建てるときは境界線が明確であることが必須条件ですが、「費用相場はいくら?」「全額自己負担になるの?」「隣接地が許可してくれなかったらどうしよう」など気になることが多くあるでしょう。

そこでこの記事では、土地の確定測量にかかる費用の相場相場より高くなるケース費用の節約方法を中心に解説します。後半では、確定測量をスムーズに進めるための注意点や流れも解説するので、ぜひ参考にしてください。

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土地の確定測量にかかる費用の目安

土地の確定測量にかかる費用相場は、官民境界ありの場合と官民境界なしの場合(民民境界のみの場合)で異なります。ここでは官民境界・民民境界の意味とともに費用相場を解説します。

官民境界ありの場合

官民境界とは国や行政が所有する土地(官有地)と民間が所有する土地(民有地)の境界を指します。官有地は行政施設の土地や公道、河川などです。

たとえば四角形の土地の1辺が公道と接しており、残る3辺が民家の土地と隣り合っている場合、「官民境界ありの場合」として確定測量する必要があります。

官民境界ありの場合の費用相場は60万円〜80万円です。官民境界ありの場合は調査規模が大きくなりやすく、官民境界なしの場合と比べて確定測量の費用が高くなりがちです。また、行政の許可や担当者の立ち会いを求める必要もあるため、長い時間を要します。

官民境界なしの場合(民民境界のみの場合)

公道や河川などの官有地に接しておらず、民有地に囲まれている土地の場合の費用相場は35万円~45万円です。

ただし、土地の形状が複雑な不整形地や面積が大きく測量の規模が大きい場合は、相場以上の値段になることがあります。この点はのちほど詳しく解説します。

確定測量費の内訳

確定測量費の内訳を表で見てみましょう。

 詳細費用相場
事前調査土地家屋調査士がおこなう資料調査・現地調査60,000円~12万円
現況測量土地家屋調査士がおこなう境界点検証など12万円~14万円
境界立ち会い・境界標設置隣接地の所有者の立ち会いのもとで土地家屋調査士がおこなう、境界点の確認と境界杭の設置

境界点の確認:1点あたり30,000円前後
境界杭設置:1点あたり30,000円前後

図面・書類作成法務省や行政に提出する書類一式の作成30,000円~10万円
官民有地境界確定官民誘致境界協議、確定申請、確定書発行など65,000円~10万円
民有地境界確定民有地境界確定書の取り交わしなど1件あたり18,000円前後
登記費用登記申請、登記完了書類の受領など。自分でおこなうか司法書士に依頼15,000円~30,000円
その他費用交通費、電話代、郵送費、書類の発行手数料、印紙代など数百円~数千円

確認しなければならない境界点の数や境界杭の設置数でも費用が変わるため、あくまでも目安として考えましょう。

確定測量の費用が相場より高くなるケース

次に、相場よりも金額が高くなりやすい、代表的な3つのケースを解説します。

  • 面積が大きい
  • 形状が複雑
  • 土地の相続人の人数が多い

面積が大きい

面積が大きい分、測量自体にかかる人手と手間も増えるため、高額になりがちです。さらに境界点の確認・境界杭の設置数、民有地境界確定の件数が増えれば、その分の費用も加算されます。

また、土地の面積が大きいと隣接する土地の数が多くなりやすく、関わる人の数が増えることも相場より高い金額になる要因です。すべての人が測量にもとづいた境界に合意すれば問題ありませんが、一部の人が拒否すると境界確定までの日数がかかります。

土地家屋調査士や司法書士等への依頼費用は、期間が長引くほど加算される可能性があるため注意しましょう。

形状が複雑

極端な例ですが、四角形の土地と星形の土地では、星形の土地のほうが確定測量にかかる費用が高額になる傾向にあります。隣接地との境界の形状が複雑だど、確認する境界点が多くなり手間もかかるからです。なお、このような境界線が複雑な土地を「不整形地」と呼びます。

土地の相続人の人数が多い

先述の通り、確定測量をするためには土地の所有者の合意と立ち合いが必須条件です。自分が所有する土地だけでなく、隣接地の所有者も含めて相続人が多い場合は、合意・立ち合いの日程調整に時間と手間がかかり、費用も膨らんでいくでしょう。

とくに、相続人のなかに次のような人がいる場合は費用が高額になるため要注意です。

  • 連絡がつかない人
  • 遠方に住んでいる人
  • 所有者不明の場合(登記簿謄本記載の人物が死亡していて相続人不明など)

確定測量にかかる費用を節約するには

確定測量にかかる費用は安いとは言えません。節約のポイントをつかんでおきましょう。

買主に交渉する

節約方法の1つ目は、土地の売り出し前に現れた買主候補に費用負担の協力を交渉することです。

土地を売却するために確定測量をおこなう場合、費用負担は基本的に売主になります。売り出すときの資料として、明確な境界線に基づく土地の面積を記載する必要があるからです。

しかし、売り出し前に現れた買主候補であれば、土地の正確な面積に関わらず購入したいと思っている可能性が高いため、土地の確定測量の費用を負担してくれることを期待できます。ただし、買主に費用負担の義務はないため無理な交渉をしないよう気を付けましょう。

複数の業者に見積もりを依頼する

確定測量は国家資格の土地家屋調査士がおこないますが、費用は公的に決められているわけではありません。そのため、業者によって見積金額が異なります。複数の業者に見積もりを依頼し、内容やかかる期間を含めて比較検討しましょう。

なお、売却が目的の場合は不動産会社に見積もりを依頼する際に、確定測量が必要なことを相談しておけば、土地家屋調査士を紹介してくれる可能性があります。

確定測量なしで売却する

確定測量なしでも売却できる可能性が高い土地の代表例は山林です。

土地が広大かつ境界線が不明瞭で測量費用がかさむ一方で地価が安い土地の場合、確定測量をおこなうと売却益がマイナスになる可能性があります。このような場合は確定測量をおこなわず、登記簿記載の公募面積で売却可能です。

とくに隣接地に民間の所有者がいなければ、境界線を巡るトラブルのリスクも低いと言えるでしょう。

ただし、公募面積による売却であることは買主に提示しなければならず、売買契約時は買主の同意が必要です。

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確定測量を依頼するときの注意点

確定測量を依頼する前に注意しておきたいポイントを、次の3つに分けて解説します。

  • 隣人との関係を築いておく
  • 時間に余裕を持って準備を進める
  • 確定測量ができるのは土地家屋調査士だけ

隣人との関係を築いておく

確定測量は隣接する土地の所有者の合意と立ち会いなどの協力が必須条件なので、依頼しやすいよう隣人との関係は良好にしておくことが大切です。

市区町村が所有する土地と隣接している場合、市区町村によっては確定測量の費用を負担してくれる場合もあります。まずは役所で相談してみましょう。

なお、トラブルが生じた場合の対処法は次の通りです。

トラブルの例対処法
境界に合意できない
  • 法務局の筆界特定制度で筆界特定登記官による調査を受ける
  • 調停で話し合う
  • 境界確定訴訟を起こす
隣接地の所有者が行方不明家庭裁判所に申し立て、不在者財産管理人を選任し、代理人としての立ち会いを依頼する

時間に余裕を持って準備を進める

隣接地の所有者がわからなかったり、相続人が多いことが発覚したりすると期間が長引くため、時間に余裕をもって準備を進めましょう。とくに売却や建設のための確定測量であれば、期間を逆算して検討することが大切です。

なお、確定測量にかかる期間は1.5ヶ月〜3ヶ月が目安です。内訳を見てみましょう。

  • 土地家屋調査士への依頼:1~2日
  • 事前調査に必要な書類の準備・事前調査:1週間
  • 現況測量:2~3週間
  • 境界確認:1ヶ月
  • 境界確定・書類作成・登記:1ヶ月

所有者が不明な場合や大規模調査が必要な場合は、さらに時間がかかります。

確定測量ができるのは土地家屋調査士だけ

不動産の表示に関する登記に使用できる測量結果は、国家資格である土地家屋調査士以外には出せません。確定測量をしたいなら、土地家屋調査士に依頼しましょう。

土地家屋調査士に依頼する方法は次の通りです。

  • 土地家屋調査士の事務所に相談する
  • 法務局で紹介してもらう
  • 土地を売却する場合は不動産会社に紹介してもらう

不動産会社による紹介は営業活動の一環なので、売却するつもりがない土地の場合は紹介してくれない可能性が高いと言えます。売らない場合は自分で土地家屋調査士の事務所を探すか法務局に紹介してもらいましょう。

なお、確定測量と似たキーワードに「現況測量」があります。確定測量前にも実施される調査ですが、この測量は塀や建物などを境界としておおよその寸法や面積を算出するためのものです。登記に必要な境界・面積は確定しないため、間違えないようにしましょう。

確定測量に関するQ&A

最後に、確定測量に関するよくある質問に回答します。

確定測量が必要なケースは?

確定測量が必要なケースの代表例は次の通りです。なお、前提として境界の一部または全部が不明な場合に限ります。

  • 売却予定の土地
  • 相続予定の土地
  • 土地を担保としたい場合(抵当権の設定のため)
  • 最後の測量から年月が経ち、登記内容の正確性が疑問視される土地
  • 隣接地との間にある塀やフェンスが境界を超えている可能性がある場合
  • 境界上にある塀やフェンスに倒壊の危険性がある場合
  • 上記の倒壊によって第三者に被害や損害を与えた場合
  • 隣接地の所有者と境界をめぐってトラブルが生じた場合
  • 建物を建てる、増築する場合

なお、購入時に示されていた境界と相違があった場合は、売主への契約不適合責任や不動産会社の説明義務違反を追及できる可能性があります。

確定測量が不要なケースは?

確定測量が不要なケースは次の通りです。

  • 分譲されたばかりの土地(土地の境界が明確)
  • 土地の価格よりも確定測量費が高い場合
  • 広大な土地で確定測量が難しい場合
  • 行政の承認に時間がかかる場合

不動産会社やディベロッパーが確定測量をおこない分譲したばかりの土地は、境界が明確なため購入者が確定測量をおこなう必要はありません。

土地価格が確定測量費よりも高い、広大で確定測量が難しい、行政が関係しており時間がかかるなどの場合は確定測量が不要になるケースがあります。ただし、隣接地の所有者とトラブルが生じていない、あるいは買主と合意できた場合など条件は限定的です。

とくに売却する場合は確定測量をしていないことを不動産会社に伝え、買主には商談の段階で説明する必要があります。

確定測量の流れは?

確定測量の流れは次の通りです。

  1. 土地家屋調査士に相談、見積を依頼
  2. 見積書を比較して土地家屋調査士を選び、依頼
  3. 土地家屋調査士が資料を集める
  4. 土地家屋調査士による事前調査
  5. 現況測量
  6. 境界測量(境界点の推定)
  7. 隣接地の所有者立ち会いのもとで境界点を確定、境界杭を設置
  8. 境界点をもとに確定測量
  9. 登記申請

先述の通り1.5ヶ月〜3ヶ月を要するため時間には余裕を持ちましょう。

まとめ

確定測量の費用相場は35万円~80万円と大きな開きがあることがわかりました。隣接地が官有地の場合は高くなる傾向にありますが、民有地であってもトラブルが生じた場合は費用が膨らむため注意が必要です。

確定測量が必要な土地を所有している場合は、日頃から隣接地の所有者との関係を良好に保っておくよう心掛けましょう。また、実際に確定測量をおこなうときは時間に余裕を持ち、費用を確保することが大切です。

なお、売却予定の場合は不動産会社に相談すれば、土地家屋調査士やトラブルが生じた場合の弁護士などを紹介してもらえる可能性があります。不動産会社に見積もりを依頼するときに、土地の確定測量が必要なことを伝えてみましょう。

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