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土地を売りに出したものの、どういうわけかなかなか売れずに困っていませんか。思ったように土地が売れない場合は、しっかりと原因を分析し、順序立てて対応策を講じることが大切です。
本記事では、売れない土地が早く売れるようにするために、原因と対策を問題別に詳しく解説します。なかなか売れない土地の売却に関してよくある質問にもお答えしますので、土地の売却活動で悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
目次
土地が売れない原因|①土地自体に何らかの問題がある
土地がなかなか売れないときは、まずは土地そのものに問題がないかを確認する必要があります。はじめに、土地自体の問題が原因と考えられるケースを3つ紹介します。
- 境界が未確定であったり越境物がある
- 形状や接道状況が良くない
- 土壌汚染や地中障害物がある
境界が未確定であったり越境物がある
隣地との境界が未確定であったり、家屋の一部、設備、埋設物、塀、樹木などが境界を越えて隣地に侵入している越境物があると、不動産会社や購入希望者から敬遠され、土地が売れにくくなります。
なぜなら、購入後に買い主と隣地所有者とがトラブルになり、場合によっては裁判になる恐れがあるためです。そのため標準的な土地売買契約書には、境界明示義務を定めた条項が入っています。境界明示とは、隣接地との境界を境界標や境界確定図などではっきりとさせることです。
これに反すると契約不履行となり、売り主は買い主に対して損害賠償をしなければなりません(民法415条)。
形状や接道状況が良くない
上の図のように、土地の形状が整っていない土地(不整形地)や、道路に接していない土地(無道路地)の場合も、売れにくい原因とされます。
なぜなら、土地の利用方法や、建物の建て方が制約されてしまうためです。それだけなく最悪の場合、土地の担保評価ができず、ローンが組めなくなることも考えられます。
不整形地や無道路地のほかに、道路より低い土地、斜面がある土地、墓地や線路に接している土地、送電塔が近くにある土地、日照や乾湿が悪い土地なども売れにくいのが実情です。
土壌汚染や地中障害物がある
土壌汚染や地中障害物がある土地も、売却しづらくなる代表的な理由のひとつです。
土壌汚染
土壌汚染とは、工場などで使用された有害な化学物質や排水が地表から地中に浸透し、土壌に蓄積されている状態をいいます。
土壌汚染対策法に基づいて、都道府県知事からつぎの区域に指定されると、土地の形質変更(宅地造成、土壌の掘削・採取、開墾など)が禁止されたり、規制がかかるため、買い手や不動産会社に敬遠されるのです。
区域 | 区域の意味 | 土地の形質変更 |
要措置区域 | 汚染による人の健康に係る被害を防止するため当該汚染の除去、当該汚染の拡散の防止その他の措置を講ずることが必要な区域 | 原則禁止 |
形質変更時要届出区域 | 土壌汚染は確認されているが、人に健康被害が起こる恐れがないので、除去などの措置が求められない区域 | 届出が必要 |
また、措置区域や形質変更時要届出区域に指定されていなくても、かつて工場が建っていた土地など地歴(土地が使われた履歴)によっては、土壌汚染の可能性が高い土地とみなされることがあります。
地中障害物
地中障害物とは、土地の下に埋まっている、前に建っていた家屋の基礎部分、コンクリート塊、ガラス、杭、ガラ、埋設管、浄化槽、古井戸、防空壕などを指します。
このような地中障害物が埋まっている土地は、その土地上に建物を建てたり、土地を利用する際の障害となります。
契約不適合責任
なお、土壌が汚染されていることや地中埋設物があることを、買い主に伝えないで売却すると、買い主から損害賠償や契約解除などを求められる可能性があります(契約不適合責任:民法562~564条)。
たとえ不都合なことがあっても、ありのままを買い主に告げて土地取引をすることが大切です。
土地が売れない原因|②販売活動・不動産会社に問題がある
土地がなかなか売れない場合、販売活動や不動産会社に問題があることも考えられます。ここでは、販売活動や不動産会社に関する原因を分析します。
- 土地需要が少ない
- 売出価格が高すぎる
- 広告宣伝活動が十分ではない
土地需要が少ない
土地が売れる・売れない最大の要因のひとつに、土地に対する需要があります。
東京のような都市部であれば、購入したい土地を探してもなかなか見つからないため、売りに出すと高値ですぐに売却できます。
一方、土地需要が少ない地域では、「土地が余っている」ため売りに出してもなかなか買い手が見つかりません。運よく見つかっても、かなりの安値での取り引きを持ちかけられてしまうでしょう。
売出価格が高すぎる
売出価格(売り主が売りに出している価格)が高すぎる可能性も考えられます。
土地の場合は、下図のように、成約価格(実際に取り引きが決まった価格)は、売出価格の90%ほどの金額で決まることが多いです。
”※画像出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)」P5”
せっかく購入希望者がいても、予算と合わない売出価格を見て「予算が足りないな」と、あきらめているかもしれません。実際、公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会のアンケート調査によると、物件選択時の優先順位は「物件価格・予算が合致するもの」が最も多い結果となっています。
”※画像出典:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会「土地・住宅に関する消費者アンケート調査ウェブアンケート調査結果<全体版>」P31”
適切な成約価格を想定し、そのうえでの売出価格の設定が大切です。
広告宣伝活動が十分ではない
不動産会社による広告活動が不足していて、潜在的な購入希望者がいたとしても、情報が届いていない可能性もあります。特に、不動産売買を検討している多くの人びとが利用している、不動産ポータルサイトの三大サイトへの情報掲載は必須です。
あえて不動産ポータルサイトに情報掲載をしない不動産会社もあるので、不動産会社と媒介契約を結ぶまえに、どのような広告宣伝活動をするのかを確認しておくとよいでしょう。
【不動産ポータルサイトの三大サイト】
- SUUMO(スーモ)
- LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)
- at home(アットホーム)
売れない土地を売る方法|①土地の問題を解消する
土地がなかなか売れない原因が把握できたら、しっかりとした対応策を講じる必要があります。ここでは、土地の問題を解消する対応策を3つ紹介します。
- 境界を確定させる
- 土地の形状を整えたり接道状況を改善する
- 汚染土壌の浄化や地中障害物を除去する
境界を確定させる
土地家屋調査士に境界確定測量をしてもらい、隣地との境界を確定させましょう。
測量にかかる費用は、土地を取り巻く状況によって異なりますが、およそ35万~80万円が相場といわれています。境界が確定すると、下図のような境界確定図を作成してくれます。
”※画像出典:国土交通省関東地方整備局「道路との境界確定申請」”
そのうえで、家屋の一部、塀、樹木、埋設物などの所有物が隣地との境界線を越えていることがわかった場合は、隣地所有者との間に「越境物の覚書」を取り交わしておきます。
土地の形状を整えたり接道状況を改善する
不整形地、無道路地、狭小地、広すぎる土地は、分筆または合筆して整形地をつくり出したり、売れやすい面積にします。分筆は1筆の土地を分割して複数の土地にすることをいい、合筆は複数の土地を1筆の土地にすることをいいます。
自分の土地だけで売れやすくなる土地にすることができない場合は、隣接地を借地・購入することも検討するとよいでしょう。土地が合わせることで自分の土地が使いやすくなると考えて、隣接地の所有者が購入を申し出てくれるかもしれません。
分筆は土地家屋調査士に依頼
分筆の場合は境界確定測量が必要です。境界確定測量はきわめて正確なものでなければなりませんので、専門的な機器や高度な技術を必要とします。
そのため、土地測量・登記の専門家である土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。
測量・分筆登記にかかる費用は、およそ30万円程度です。
合筆は自分でもできる
一方、合筆の場合は境界確定測量は必要ありません。費用も数千円程度で済むことも多いので、自身でおこなうことも可能です。法務局のサイトにある合筆登記申請書を記載例にしたがって記入し、土地の所在する法務局に出向いて申請手続きをします。
わからないことがある場合は、事前に予約をしたうえで法務局の担当者に相談するとよいでしょう。
汚染土壌の浄化や地中障害物を除去する
土壌が汚染されている場合や、地中障害物がある場合は、法令や国や自治体が定めたガイドラインにしたがって浄化・除去作業をする必要があります。
土壌汚染の場合は、都道府県または政令指定都市に汚染土壌処理業者名簿が用意されているので、まずは担当課に相談するとよいでしょう。
一方、地中埋設物の場合は、産業廃棄物に該当するので、法令に従った産業廃棄物処理ができる業者に依頼しなければなりません。
また、地中埋設物を除去することによって周辺に悪影響を及ぼす恐れもあるため、まずは都道府県または政令指定都市の産業廃棄物担当課に相談することをおすすめします。
売れない土地を売る方法|②販売活動を見直す
土地がなかなか売れない場合、販売活動の方法に問題があることも少なくありません。ここでは、販売活動の問題を解消する対応策を3つ紹介します。
- 隣地の所有者に相談する
- 売出価格を見直す
隣地の所有者に相談する
土地を売却するときに、一番の購入候補者となるのが隣地所有者です。自分にとっても、お隣りさんにとっても、知らない人と取引するよりも安心して売買できます。
それだけなく、売り手にとっては早く売却できる、買い手にとっては土地が使いやすくなる、日当たりや風通しがよくなるなどのメリットがあります。
もし、まだ隣地所有者に声をかけていない場合は打診をしてみるとよいでしょう。ただし、不動産会社との媒介契約が専属専任媒介契約の場合は、禁止されている自己発見取引に該当する可能性があるので、声をかける前に必ず不動産会社に相談してください。
売出価格を見直す
販売活動を始めてから3ヵ月を経過したら、不動産会社との媒介契約の更新などのタイミングに合わせて、売出価格を1割程度下げてみることも考えてみましょう。
さきほども紹介したように、土地の場合は成約価格が売出価格の90%程度で決まる傾向があります。
その点も加味し、また不動産会社がどのように販売活動をしていたかという評価と合わせて、実際の売出価格を下げるタイミングや下げ幅を検討することをおすすめします。
売れない土地を売る方法|③不動産会社や契約を見直す
土地や販売活動に関する対応策を講じても土地がなかなか売れない場合は、不動産会社や契約を見直す必要があるかもしれません。ここでは、不動産会社や契約に関する対応策を3つ紹介します。
- 不動産会社を変える
- 一般媒介契約で契約する
- 不動産会社に買取をしてもらう
不動産会社を変える
不動産会社の仕事ぶりを評価し、満足のできる働きをしてくれなかった場合は、契約期間終了のタイミングで契約を更新しないで、別の不動産会社に変えることを検討してみましょう。
不動産会社は売り主と媒介契約を結ぶと、おもに次のような販売活動をおこないます。
- REINS(※)への登録
- 広告宣伝活動(Web、不動産ポータルサイト、不動産情報誌、ポスティングなど)
- 購入希望者を現地へ案内
※REINS(レインズ):全国の売買の対象となる物件情報を交換するネットワークシステム。不動産会社のみ利用できる
購買層に向けて効果的な広告宣伝活動がおこなわれていなければ、潜在的な購入希望者にいたとしても、その手に情報が届きません。契約期間中はどのような広告宣伝活動をおこなっているかを確認しておくとよいでしょう。
なお、不動産会社に怠慢がある場合は契約期間であっても一方的に契約を解除することも可能です。
一般媒介契約で契約する
現在不動産会社と結んでいる媒介契約の種類・内容を確認し、不動産会社の勧めで専任媒介契約や専属専任媒介契約を結んでいた場合は、一般媒介契約に切り替えてみることを検討してみましょう。
一般媒介契約は、同時に複数の不動産会社に売却を依頼が可能で、また、売り主が自ら購入希望者を探して取引をする自己発見取引も可能です。
より多くのひとや企業に物件情報を見てもらえる機会が広がり、早く売却できる可能性が高まるでしょう。不動産会社との媒介契約は、下表のように3種類あり、それぞれ特徴があります。
項目 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
契約期間 | 3ヵ月が一般的(法律上の規定なし) | 最大3ヵ月(法律上の規定あり) | 最大3ヵ月(法律上の規定あり) |
他の不動産会社への同時依頼 | できる | できない | できない |
売り主による自己発見取引 | できる | できる | できない |
不動産会社によるREINSの登録 | 任意 | 義務(媒介契約締結日から7営業日以内) | 義務(媒介契約締結日から5営業日以内) |
不動産会社による売り主への定期報告 | 任意 | 義務(2週間に1回以上) | 義務(1週間に1回以上) |
途中解除 | できる | 原則はできない | 原則はできない |
不動産会社が売り手と契約を結ぶときに、専任媒介契約や専属専任媒介契約を勧める会社があります。この2つのうちいずれかの契約を結ぶと、積極的に販売活動に取り組んでくれる会社がほとんどです。
しかし、他社に仕事が取られる心配がないため、販売活動をほとんどしてくれなかったり、自社の都合にいいように契約成立の時期や物件情報を操作するなど、残念ながら問題がある会社も存在するため注意が必要です。
不動産会社に買取をしてもらう
安くなってもよいので、できるだけ早く土地を手放したいという方は、不動産会社に直接土地を買い取ってもらうことを検討してもよいでしょう。
不動産会社に土地の売却を依頼するときは、仲介という方法により媒介契約を結ぶのが一般的ですが、もうひとつ、不動産会社に直接土地を買い取ってもらう買取という方法があります。
買取による売却価格は、仲介による売却価格の80%程度が相場といわれており、売却価格は安くなってしまいます。一方で、仲介のように買い手を探す必要がないため、売れにくい土地でもスピーディーに売却できる点がメリットです。
売れない土地の売却についてのよくある質問
最後に、売れにくい土地の売却に関するよくある疑問にお答えします。
- 土地の売却に強い不動産会社の選び方は?
- 不動産会社は大手と地域密着型のどちらがおすすめ?
- 売れない土地を手放したい場合は?
土地の売却に強い不動産会社の選び方は?
売れにくい土地を売却するには、土地売却に関する知識や経験が豊富な不動産会社に依頼しないと、なかなか売却できないかもしれません。次の3つのポイントを重視して選ぶとよいでしょう。
- 土地周辺の事情に詳しい
- 適切な価格設定ができ、価格設定の根拠に説得力がある
- 行政処分を受けたことががない
土地のある地域に営業拠点を持つ大手と地域密着型の会社3~5社に、不動産一括査定サイトで査定を依頼して、査定結果を比較・検討しながら絞り込むのがおすすめです。
不動産会社は大手と地域密着型のどちらがおすすめ?
大手の会社と地域密着型の会社には、それぞれにメリットとデメリットがあるため、一概にどちらがよいとはいえません。
しかし、それぞれの営業ネットワークの範囲や広告宣伝のスタイルを考慮すると、土地周辺のエリアを超えて販売活動をしてもらいたい場合は大手の会社が向いています。逆に土地周辺のエリアに限定して販売活動をしてもらいたい場合は、地域密着型の会社が向いているといえるでしょう。
項目 | メリット | デメリット |
大手 |
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地域密着型 |
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|
※両手仲介:自社の顧客の中から売り主・買い主を探し、売り主・買い主の両方から仲介手数料を得る営業方法。売り主側が値下げをしなければならないケースが多く、売り主に不利
売れない土地を手放したい場合は?
どうしても売れない土地を手放したい場合は、無償譲渡(寄付)を検討するとよいでしょう。譲渡先は隣地所有者、近隣に住んでいる親族や知人、団体、自治体などが考えられます。
また、自治体が運営する空き地バンクを活用して、土地をもらってくれる人を探すのもひとつの手です。土地を無償譲渡する場合の注意点としては、無償譲渡を受けた側(土地をもらった側)が支払わなければならない費用や税金があることです。
費目 | 支払時期 | 金額の目安 | |
登記費用 | 登録免許税 | 所有権移転登記時 | 固定資産税評価額×2% |
司法書士報酬(依頼した場合) | 所有権移転登記時 | 数万~5万円程度 | |
実費 | 所有権移転登記時 | 1万~2万円程度 | |
税金 | 贈与税 | 贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日まで | 課税価格 × 税率− 控除額 |
不動産取得税 | 不動産を取得した日から30日以内 | 固定資産税評価額×4%(※1) | |
固定資産税 | 毎年5月、7月、12月、2月 | 固定資産税評価額×1.4%(※2) | |
都市計画税 | 毎年5月、7月、12月、2月 | 固定資産税評価額×0.24%(※2) |
※1 2024年3月31日までに取得した土地は3%
※2 自治体によって税率が異なる
一方、無償譲渡をした側(土地をあげた側)には、特にかかる費用や税金はありません。
相続土地国庫帰属制度
今年(2023年)から、相続土地国庫帰属制度が始まりました。この制度は、相続または遺贈によって入手した土地で、一定の要件を満たしていると認められた場合、審査手数料と負担金(一筆20万円が基準)がかかりますが、国がその土地を引き取るというものです。
制度が利用できる要件や申請手続きについては、土地の所在する法務局か、弁護士・司法書士・行政書士に相談してみてください。
まとめ
土地が売れない原因は、土地自体に何らかの問題があるか、販売活動や不動産会社に問題があるケースが多いです。土地自体の問題としては、境界未確定や越境物の存在、土地の形状や接道状況の悪さ、土壌汚染や地中障害物の存在があげられます。
一方、販売活動や不動産会社の問題には、土地需要の少なさ、売出価格が高い、不十分な広告宣伝活動などに起因と考えられます。
特に、隣地所有者に購入してもらう、あるいは無償譲渡することは、隣地所有者にとっても大きなメリットがあることも多いです。隣地所有者にまだ打診していないようであれば、そこから始めてみるとよいでしょう。