持ち家があるまま生活保護を受けるための必要条件とは

持ち家があるまま生活保護を受けるための必要条件とは

さまざまな事情で経済的に困窮し、生活していくことが難しい人もいるでしょう。国の制度として生活保護というものがあります。生活保護は市区町村の福祉事務所に相談して審査を通過すれば利用可能です。

生活保護を受給するためには要件を満たす必要があり、そのひとつが持ち家がある場合は生活保護を利用できないというものです。

この記事では、持ち家に住んだまま生活保護を受ける方法について解説します。生活保護の基本的な考え方についても紹介しますので参考にしてください。

生活保護とは

まずは生活保護の基本的な仕組みについて理解していきましょう。生活保護は誰でも受けられるものではなく、いくつかの要件を満たす必要があることを理解し、審査に通るために準備が必要です。

低所得者を支援する救済制度

厚生労働省が示す最低生活費よりも収入が少ない人を「低所得者」とし、生活保護はこうした人々を支援するための救済制度となります。多少収入があっても、それだけでは生活が難しい場合は、最低生活費から今ある収入を差し引いた額が支給されます。

生活保護は、低所得者に対して資産や能力などあらゆるものを活用することを前提に必要な保護が行われる仕組みです。対象となる人は次のような要件となります。

  • 不動産、自動車、預貯金等のうち、ただちに活用できる資産がない。※不動産、自動車は例外的に保有が認められる場合があります。
  • 就労できない、または就労していても必要な生活費を得られない。
  • 年金、手当などの社会保障給付の活用をしても必要な生活費を得られない。
  • 扶養してくれる家族や身内がいない。

こうした要件を満たす人は、居住している市区町村に申請をすることで審査を受けることが可能となります。

審査に通らないと受給できない

生活保護は日本に永住している人であれば利用できる制度です。ただし、受給するためには必要条件を満たして審査を通過する必要があります。

申請を受けた役所は、資料調査や訪問調査を通じて2週間以内で審査の通過を決定します。生活保護は審査を通過しなければ受給できません。

持ち家があっても生活保護を受けられることも

基本的に不動産を所有している人は、生活保護の受給対象外となります。不動産はどのような状態のものであっても資産とみなされるため、売却して生活費にあてなければならないというルールがあるからです。ただし、いくつかの条件を満たせば持ち家を売却せずに生活保護を受けることができます。

たとえば、現在居住している家の場合、売却してしまうと住むところがなくなります。そのため、居住中の不動産であれば容認されるケースもあります。

生活保護を受けるための必要要件

生活保護を受けるために必要な要件についてみていきましょう。生活保護の受給を検討している人は自分が要件に当てはまるかをしっかり確認してから申請することをおすすめします。

収入が最低生活費以下である

生活保護を受給する要件で大きなウェイトを占めるのが、収入になります。現在の収入がどの程度なのかは生活保護を受給する要件のなかでも第一要件といえるでしょう。収入に関しては「最低生活費」が基準とされています。

国が定める「最低生活費」は、憲法が保障する最低限の生活を満たすために必要な金額です。最低生活費は「生活扶助+住宅扶助+各種加算」の合計が通常とされています。

ここで注意したいのが、収入の内訳になります。ここでいう収入は、働いて得た所得だけではありません。たとえば年金を受給していれば年金も収入として換算されます。

また生命保険の解約金、資産を売却して得られたお金も収入です。これらの金額を審査して、収入があっても生活に困るほどの困窮具合であると判断された場合には、最低生活費から収入を差し引いた額が支給されます。収入が最低生活費を超えている場合は受給できません。

家族や親戚から援助を受けられない

自分の収入が生活ができないほど少ない場合でも、近隣に援助してくれる家族や親戚がいる場合には生活保護を受けることはできません。審査の際には3親等以内の直径血族に対して書面で扶養調査が行われることになっています。

ただし、近隣に家族や親戚がいたとしても援助してもらえないことがはっきりとしている場合には、生活保護を受けることができます。

働けず収入がない

働く意欲はあっても病気やケガが原因で働くことができない人も受給対象です。ただし、自己申告では認められないことが多いため、病院の診断書など公的な書類を用意する必要があります。

診断書の発行には5,000円から1万円程度の費用が必要になるのが一般的です。それを捻出することも難しい人の場合、過去に病院へ通った際の領収書を窓口に一度提出してみるという方法もあります。

生活保護を受給したとしても基本的には能力の範囲で働くことが求められます。そのため病気やケガの程度によってはできる範囲での労働が条件となることもあるでしょう。まったく働くことができない状態を除いては、自分の力で生活していく基盤を作る努力をしていくことが求められます。

また、病気やケガが原因で一時的に働けなかった人は、病気やケガが完治したら働くことができる状態になったとみなされます。この場合、ハローワークなどを利用して仕事を探すように指導されるでしょう。

もしも、この指導を無視して働く意欲を見せずに生活保護を受給し続けていると、担当者から何度も指導が入ることがあります。これも無視していると最終的に生活保護を打ち切られてしまうこともあります。

財産を所有していない

財産の有無は生活保護の受給に大きく関係します。もしも不動産や貴金属、自動車や複数の携帯電話などを所有している場合には売却して生活費に充てるように指導されるでしょう。不動産に関しては、利用していない土地や空き家などがあれば売却の対象となります。

現在居住している不動産に関しては、いくつかの要件をクリアすれば保有したまま生活保護を受給することも可能です。

預貯金は、最低生活費の半額まで所有が可能です。それ以上の貯金がある場合には生活保護を受けることができません。

自動車も財産としてみなされるため、生活にどうしても必要でない限りは売却することが求められます。

年金や公的な融資制度などが使えない

生活保護を受給すると、年金制度や国の融資制度などを利用できなくなります。厚生労働省が示す「生活保護制度」には、「年金や手当など国が定めるほかの制度を利用することができる場合は、まずそれらを活用してください」と記載されています。

引用元)「生活保護制度」厚生労働省

生活保護は、国が示しているほかの制度が利用できなかった人を保護するための制度という考え方を持っておいたほうがよいでしょう。つまり生活保護以外に利用できる公的制度があると判断された人は支給対象外と判断されるということです。

現在、国が行っている年金制度や公的融資制度は、次のとおりです。

公的制度の名称具体的な内容
老齢年金65歳以上の人が受け取れる年金

障害者年金

障害や病気によって生活や仕事が困難になった人がもらえる年金

遺族年金

年金加入者が死亡した場合に家族が受給できる年金

労災保険

勤務中の怪我や病気などで就業不能になった人が受け取れる保険金

失業保険

会社を退職した人が一定期間受け取れる保険金

求職者支援資金融資

働く意思がある人が一定額の生活費を借りられる制度

傷病手当金

病気や怪我などで就業不能になった場合に健康保険からもらえる手当

母子父子寡婦福祉資金

ひとり親が生活費や子供の教育費などを借りられる国の制度

生活福祉資金貸付制度

無職や障害者などを対象にした国の貸付制度

生活保護を申請する前に生活福祉資金貸付制度を利用することを進められることもあるでしょう。生活保護により近い制度として、生活福祉資金貸付制度があげられます。生活福祉資金貸付制度は、国からお金を借りられる制度です。低所得者や障害者などで生活に困窮している人が対象とされています。一般的な貸付と異なるのは、収入がなくても貸付の対象になるという点です。

持ち家を売却せずに生活保護を受けるための条件

生活保護を受給するためには資産を売却することが求められます。不動産は大きな資産となるため、真っ先に売却対象となるでしょう。ただ、持ち家を売却せずに生活保護を受けることも条件によっては可能です。

生活をしている不動産であること

もし生活保護を受給するには現在居住している持ち家も売却する必要があると言われたら、困ってしまう人もいるでしょう。生活保護を受けても住む場所がなければ生活をしていくことはできません。生活保護はあくまでも生活基盤を立て直すために支給されるものです。

生活基盤を失うような条件を無理やり実行するようなことはありません。売却の必要があるケースでも、新しい住居に移転するための費用が支給されます。移転費用と売却にかかる費用を比較して移転費用のほうが高額になる場合には持ち家を所有したまま生活保護の受給が認められることがあります。

住宅ローンを完済していること

現在所有している不動産に住宅ローンが残っているケースでは、生活保護を受給するとそのお金がローンの返済に回るとされ、受給対象外となります。持ち家を所有したまま生活保護を受給するためには住宅ローンを完済していることが条件となります。

持ち家があって生活保護を受給する際の注意点

持ち家がある状態で生活保護を受給したい場合には、いくつか注意しておきたい点があります。もしも真相を隠して生活保護を受給すると刑罰に処されることもあるため、生活保護の申請は慎重に行うことが重要です。

ここでは持ち家があって生活保護を受給する際の注意点について3つ紹介します。正しく生活保護を受給して少しでも早く生活を立て直すためによく理解しておきましょう。

持ち家を売却しなくてはいけないケースもある

生活保護は何をどうしても生活費を捻出できない状態の人に支給される「最後の砦」と考えておきましょう。財産がある人はそれらを売却してでも生活保護を受けたいかどうかをよく考える必要があります。たとえば今住んでいる家であっても資産価値が高いと判断されれば売却するように指導されます。

持ち家の資産価値が高かったり、極端に広い敷地であったりする場合には贅沢であるとみなされ売却を求められるでしょう。売却してもう少し生活レベルを下げることで売却金を生活費に充てることができるとなれば生活保護を受給するよりも売却するように指導されます。

住んでいる家が狭小であったり築年数が古かったりして、住宅ローンも完済していれば所有したまま生活保護を受給することも可能です。

原則として相続放棄ができない

生活保護を受給している最中に相続が行われた場合についてみていきましょう。不動産など資産価値の高いものを相続した場合、「資産活用の原則」に従う必要があります。資産を売却すれば多くの現金が入ってくるため最低限生活費を上回る可能性が高くなるでしょう。

被保護者が保護に保護が必要なくなった場合、保護の停止または廃止が決定されます。保護の停止は、一時的にでも生活保護を受けなくても生活できるだけの資金が手に入った場合に適用となります。

資金が一時的なものであり、時期が過ぎればなくなってしまうことが明らかであれば資金が尽きたタイミングで生活保護の受給が再開されるでしょう。

廃止については、保護要件から外れるだけの高額な資金を得た場合に適用されます。完全に対象外となるため、新たに生活保護を受給したい場合は最初から手続きを行う必要があります。

相続には相続放棄という選択肢もありますが、生活保護の受給を続けたいという理由で相続を放棄することはできません。プラスの資産を受け継ぐことになった場合には、それを使って生活していくことが求められるため生活保護は停止または廃止されることになるでしょう。

ただしマイナスの財産が多い場合や受け取ってもそれほどの資産にならない相続の場合には、生活保護受給を継続することも可能です。

不正受給は刑罰の対象になる

生活保護は本当に生活に困り、どうすることもできない人に支給されるものです。もしも虚偽の申請をして生活保護を受給していると、不正受給とみなされて刑罰の対象となります。具体的には資産価値のあるものを所有していることを隠していたり、収入を隠していたりすると不正受給です。

たとえば、許可されていないのに自動車を所有している場合も不正受給に当たります。普段生活していてバレることがないだろうと軽く考えていると、ケアワーカーが訪問してきた際に不正が発覚するというケースも少なくありません。

不正受給が発覚すると3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。

まとめ

「生活に困窮しているけれど資産価値のある持ち家があるので生活保護は受給できない」と考えている人もいるでしょう。要件を満たすことができれば、持ち家があっても生活保護を受給することは可能です。そのため、ひとまず申請をしてみるというのもひとつです。

持ち家以外の不動産がある場合は売却を求められるため難しいですが、住宅ローンを完済している持ち家であれば生活保護受給の可能性は高くなります。

生活保護は生活基盤を立て直すために一時的に市区町村の支援を受けて生活するための制度です。住居を奪うようなことを市区町村はしません。必要な住居であるならば持ち家があっても生活保護を受給することができる可能性はあります。

ただし極端に広い家屋や土地の場合は、受給対象から外されることもあるでしょう。ポイントは、住宅ローンを完済していること、持ち家を売却するための費用と新居に引っ越すための費用を比較した際にどちらが高額になるかということです。

持ち家があって生活保護を受給したいと考えている場合は、まず地元の福祉事務所に相談してみましょう。生活保護を受給するために今の生活をどう変える必要があるのかをよく理解し、生活保護のほうがよいのか、なんとか頑張って自力で生活する術を考えるほうがよいのかを検討してみましょう。

もしも家を売却するほうがよいという結論にいたった場合には、不動産一括無料査定サイトなどを利用してできるだけ高額で売却できるように工夫することも大切です。