不動産査定書と不動産鑑定評価書の違いとそれぞれの特徴

不動産査定書と不動産鑑定評価書の違いとそれぞれの特徴

不動産査定書は、査定を依頼した不動産の査定額とその金額になった根拠が記載されたものです。記載される基本的な項目は変わりませんが、誰が査定を行い、誰が資料を作成したかによって査定書の種類が異なります。さらに査定書が果たす役割も変わります。

ここではまず不動産査定書には2つの種類があるということを理解しましょう。具体的には次項で解説しますが、簡単に説明しておくと不動産会社が作成するのか、資格を保有した不動産鑑定士が作成したものであるのかという違いです。

それぞれの特徴と違いについてよく理解してスムーズに不動産売買を進めましょう。

不動産査定書の種類とそれぞれの特徴

それぞれの特徴をよく理解して自分に必要な不動産査定書を取得するようにしましょう。

不動産会社が作成する不動産査定書

不動産の査定を依頼すると一般的には依頼された不動産会社が調査を行います。調査結果を基に不動産の査定額を算出して作成するのが不動産査定書です。不動産会社が作成する不動産査定書は、あくまでも不動産の市場価値を確認することを目的としています。

周辺地域の相場や築年数などを根拠として、不動産の査定額を計算しています。これらは不動産会社のサービスの一環として行われているため、通常は無料で提供されます。書類を作成するための特別な資格は必要なく誰が作っても問題ないのが特徴です。

不動産鑑定士が作成する不動産査定書

不動産会社が作成する不動産査定書以外に、不動産鑑定士の国家資格を保有した人が作成した書類もあります。不動産鑑定士が作成した場合には不動産鑑定評価書と呼ばれることもあり、不動産査定書との違いが問われることも多くあります。

不動産鑑定士は、国家資格に合格した人であり、誰でも作成できる不動産査定書とは書類が果たす役割も異なります。不動産鑑定評価書には法的な効力もあるため、裁判などでも使用できる書類です。

不動産査定書と不動産鑑定評価書の違い

不動産査定書には、通常の査定書と不動産鑑定士が作成する不動産鑑定評価書の2種類があることを解説しました。では、具体的に2種類の書類にはどのような違いがあるのでしょうか。4つのポイントに絞って詳しく解説します。

使用するシーンの違い

どちらの不動産査定書を作成するかは、「なぜ不動産査定書が必要なのか」という理由によって考えるとよいでしょう。一般的な不動産売買で、ひとまず不動産の査定額が知りたいという場合や、財産を売却して分配した場合にどのくらいの金額になるか知りたい場合は不動産査定書で問題ありません。

不動産鑑定評価書が必要となるのは、離婚で財産分与をする場合や相続で財産を分配するときなどです。つまり法的な問題が関係する場合には不動産査定書よりも法的効力の強い不動産鑑定書を用意したほうがよいということになります。

このように不動産査定書は使用するシーンをよく考えて作成することがポイントです。ここでもうひとつ理解しておきたいのが、査定を依頼する理由です。

不動産査定書に関しては、不動産の売却が目的でない場合には依頼することができません。売却は考えていないけれどとりあえず価値を知りたいというだけでは不動産会社に査定書の作成は依頼できないということです。

不動産鑑定評価書に関しては、依頼目的に制限はありません。お金を払って作成してもらうのが一般的であるため、どのような目的であっても作成してもらうことは可能です。有料になっても不動産の価値を知りたい理由がある場合には不動産鑑定士に査定書を作成してもらいましょう。

作成する人の違い

誰が作成したかも大きなポイントとなります。不動産会社の社員が作成したものは不動産査定書です。不動産査定書は基本的に誰が作ってもよいとされています。そのため特別な資格は必要ありません。不動産の知識があってきちんと査定額が算出できる人であれば不動産査定書は作成可能です。

つまり信頼できる不動産会社でなければ、受け取った不動産査定書も信用できないというパターンもあり得るということになります。もちろん、杜撰な査定をする不動産会社はまれですが、残念なことになかには極端に高額な査定額を提示してきたり売主が飛びつきやすい条件を提示してきたりする不動産会社もあります。

こうした不動産会社の場合、結果的に売却がうまくいかず時間だけを浪費してしまったというケースも少なくありません。極端に高額な査定額を提示してきた場合には、その根拠が信用に足るものであるかどうかをきちんと確認することをおすすめします。

一方で、不動産鑑定評価表は国家資格に合格した不動産鑑定士のみが作成可能な書類です。査定額の根拠がしっかりと納得できる内容になっています。

依頼するのにかかる費用の違い

誰が作成するかで効力が変わるだけでなく作成にかかる費用も変わります。不動産会社に査定書を作成してもらう場合は基本的に無料です。これは不動産会社が依頼主に査定料を請求する権利をもたないからです。不動産会社の収益は成功報酬である仲介手数料です。

そのため成功報酬ではない査定料を徴収することはできないルールとなっています。もしも査定料を請求してくる不動産会社があったとしたら信用できないと考えてよいでしょう。

一方で、不動産鑑定士は資格を保有して書類を作成するため、査定料を請求する権利を持ちます。費用に関しては事務所によって異なりますが、基本的には国土交通省が定めた基本鑑定報酬額を基準に算出されます。

具体的には不動産価格が3,000万円以下の場合で20〜50万円が相場とされています。

作成にかかる期間の違い

作成する人によって作成にかかる期間にも違いが生じます。不動産会社に依頼した場合、簡易査定であれば最短1時間程度で不動産査定書が完成することもあるでしょう。簡易査定は、不動産がある現地に赴くことなく、依頼主から提供された情報だけを参考に査定額を算出します。

簡易査定は、周辺不動産の相場などを根拠として査定額を算出するだけの作業となるためあくまでも机上の金額であると捉えることが重要です。実際に不動産を見てみたら査定額が下がった、上がったということはよくあることと考えて利用しましょう。

一方で、不動産鑑定士に依頼した場合には、1週間〜2週間程度の時間が必要となります。不動産鑑定士は明確な根拠のもとに正確な査定額を算出するため、しっかりとした調査を行います。そのため査定書を作成するのに時間がかかると考えましょう。

より正確な不動産価値を知りたい場合には不動産鑑定士に作成を依頼する必要があるということです。

不動産査定書のチェックポイント

不動産査定書を受け取ったら、どのような見方をすればよいのでしょうか。査定額だけを見て満足するのではなく、ほかの項目についてはきちんとチェックして算出された査定額が正確であるかどうかを見極めることも大切です。ここでは不動産査定書のチェックポイントを2点に絞って解説します。

査定額の根拠

思ったよりも高額な査定額がでた場合は、嬉しくて査定額だけを見て満足してしまうこともあるでしょう。逆に査定額が低かった場合も金額だけを見て気落ちして査定書を放置してしまうということもあります。

大切なのは査定額ではなく、なぜその金額になったのかという根拠の部分です。不動産査定書には査定額の根拠が記載されるのが一般的です。そのため根拠の部分をしっかりとチェックするようにしましょう。

根拠がよくわからない場合には、担当者に問い合わせても大丈夫です。その際の対応の仕方でその不動産会社の質をはかることもできるため、積極的に問い合わせをしてみるとよいでしょう。

丁寧に具体的な根拠を説明してくれる担当者ならよいですが、曖昧な答えしかくれないような不動産会社であれば信用できないため選ばないようにすることが賢明です。

査定額の下限値

不動産査定書のなかには、査定額を限定せずに「上限価格、標準価格、下限価格」または「○○万円~○○万円」という形で記載してくるものもあります。

この場合、売る側としてはできるだけ高く売却したいため、高い方の金額を意識しやすくなるでしょう。ただ、このケースでは上限値よりも下限値をチェックすることが大切です。

上限値で考えて、次の住宅ローンを検討してしまうと万が一、下限値でしか売却できなかった場合には支払いが苦しくなったりローンが組めなくなったりすることもあります。

下限値で考えておけば、無理のない住宅ローンを組むことができるだけでなく、万が一値引き交渉された場合にどこまで値引きすると損になるかがわかっているので売却で損する可能性が低くなるでしょう。

不動産会社に不動産査定書を依頼するときの注意点

不動産査定書は無料で比較的簡単に手に入れられるため気軽に依頼できますが、不動産鑑定士に依頼する場合は費用がかかります。

このように気軽に利用できる不動産会社への査定依頼ですが、注意しておきたい点がいくつかあります。ここでは注意点を3つに絞って解説します。

正確な査定額を知るには書類が必要

不動産会社に査定を依頼する場合、インターネットを利用すれば相手の顔を見ることもなく簡単に査定を依頼することも可能です。ただしこの場合は簡易査定と呼ばれ、気軽に利用できる反面、売主から提供する情報も少ないためあくまでも参考程度の査定額が出ると考えたほうがよいでしょう。

簡易査定の場合は、最低限の情報をインターネットに入力するだけで査定してもらうことが可能です。そのため書類の提出なども不要となります。より正確な不動産査定書を作成してもらいたい場合には、「訪問査定」を依頼して実際に不動産を見てもらい査定をしてもらう必要があります。

その際には、次のような書類を提出する必要があるため、訪問査定を依頼する場合には事前に準備しておきましょう。

  • 不動産の所在地がわかる地図
  • 登記簿謄本
  • 本人確認書類
  • リフォーム履歴がわかる書類
  • 登記権利証か登記識別情報

一般的にはこうした書類があれば最低限の査定が可能です。ただし不動産の種類によってはこれ以外の書類の提出が求められることもあります。不安がある場合には事前に査定を依頼する不動産会社に問い合わせておきましょう。

有効期限がある

不動産の価格は常に変動しています。そのため不動産査定書も最新のものでない限り、価格が保証されるものではありません。つまり不動産査定書にも有効期限があるということです。

不動産会社に依頼する査定書は無料であるため、いつでも気軽に依頼し直すことができるでしょう。ただ、不動産鑑定士に依頼した場合、高額な費用がかかるケースも少なくないため有効期限を意識して依頼することが重要となります。基本的に不動産鑑定士が作成した不動産査定書の有効期限は3カ月以内とされています。

裁判などで必要となる場合には有効期限が切れてしまうと法的効力も薄れてしまうため、必要な時期から逆算して、よいタイミングで依頼することが求められます。作成には1週間〜2週間の期間が必要であることも忘れないようにしましょう。

不動産会社によって査定額は違う

不動産の査定は複数の不動産会社に依頼するのが基本です。なぜ複数社に依頼するのかというと、不動産会社によって出される査定額が異なるからです。不動産価格には相場があるため、それほど大きく金額が異なるということは稀ですが、場合によってはかなりの金額差が生じるケースもあります。

不動産会社が出してきた査定額が正確であるかどうかを見極めるには、事前に自分で不動産周辺の相場価格を調べておくことも重要です。同じような条件の不動産がいくらくらいで売りに出されているのかを調べてみましょう。おおよその相場を把握することができます。

その上で、提示された複数の査定額を比較するとより安心です。なかには媒介契約を結んで自社と取り引きしてもらいたいために極端に高額な査定額を提示してくる不動産会社もあります。高額だからと飛びつくと後悔することになりかねません。

高額な査定額を提示してきた不動産会社には、査定額の根拠について確認しましょう。根拠が正確で納得できるものであればよいですが、将来的に価値が高騰する可能性がある、絶対この価格で売れるなど曖昧な根拠を示してきた場合には注意が必要です。

このように複数の不動産会社に査定を依頼することで悪徳な不動産会社を回避することもできます。無料一括サイトを利用することで、より安全に優良な不動産会社をみつけることもできるでしょう。忙しい人でも一度の入力で複数社に査定を依頼できるため時間と労力の節約にもつながります。

まとめ

不動産を売却したい場合には、不動産会社に不動産査定書の作成を依頼するのが通常です。不動産査定書の作成を依頼するというとなんとなく難しいイメージになってしまいますが、簡単にいえば簡易査定や訪問査定を依頼するということです。

簡易査定や訪問査定を依頼した際に渡される書類が不動産査定書です。不動産査定書は、不動産会社に作成してもらう場合には無料であるため、複数の不動産会社に査定を依頼していておきましょう。査定額は不動産会社によって異なるため、比較するという意味でも複数の査定は重要です。

複数社に査定を依頼すれば、ある程度の相場がみえてきます。それだけではなく高額な査定額を出して契約を結ばせようとする悪徳な不動産会社を見極めて回避することも可能です。

複数社に査定を依頼したいけれど忙しくて何軒も不動産会社を回る時間がないという人には、一括査定サイトの利用が便利です。時間も場所も関係なくインターネットがつながる環境さえあれば、いつでも気軽に査定を依頼することができます。

一度情報を入力するだけでまとめて複数社に依頼できるため効率的に不動産売却を進めることができるでしょう。