一棟マンションの売却入門!タイミングを見極めて税金対策もしよう

一棟マンションの売却入門!タイミングを見極めて税金対策もしよう

一棟マンションを納得のいく価格で売却するためには、さまざまな手続きや作業が必要です。今回の記事では、一棟マンションを売却するまでの基本的な流れから売却のタイミング、売却した後の税金対策まで紹介します。

この記事を最後まで読むことで、一棟マンションの売却の一連の流れを理解することができます。ぜひ最後まで目を通し、一棟マンション売却の参考にしてください。

一棟マンションを売却する基本の流れ

通常一棟マンションは高価な不動産物件であり、気軽に売却することは難しいでしょう。しかし、売却に至るまでの基本的な流れやポイントを事前に押さえておけば、比較的スムーズに売却することが可能となります。

ここからは、一棟マンションを売却するまでの流れを5つのポイントに絞って、時系列で紹介していきます。

一棟マンションの売却相場を調査

一棟マンションを売却することを検討したら、まずは一棟マンションを取り扱える不動産会社で査定を受けましょう

査定を受ける際は、正確な相場を把握するため、複数の不動産会社に査定を依頼することをおすすめします。一軒ずつ問い合わせて依頼するのは時間がかかるため、ネット上にある一括査定サイトを活用するとよいでしょう。

一括査定サイトでは、一度査定に必要な情報を入力すれば、同時に複数の不動産会社に査定の依頼できます。時間的にも労力的にも効率的に査定を依頼することができるので、上手に活用してマンションの売却相場を入手しましょう。

複数の査定結果が集まったら、それぞれを比較することも大切です。不動産会社の中には曖昧な基準で査定するケースもあることから、複数の査定結果をもとにできるだけ正確な査定額を見極めるよう心がけましょう。

不動産会社に仲介の依頼

一棟マンションの売却相場を把握した後は、不動産会社に売買の仲介依頼を行います。仲介してもらう不動産会社選びは重要です。査定結果だけで決めるのではなく、査定依頼を行う過程で感じた担当者の印象や対応の丁寧さ、これまでの実績などを総合的に考慮して、最も信頼できる不動産会社を仲介先として選びましょう。

不動産会社に仲介してもらう場合は、媒介契約を交わします。媒介契約には「一般媒介契約」と「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3つがあります。それぞれの特徴や違いは以下の通りとなります。

 

一般媒介契約

専任媒介契約

専属専任媒介契約

他の業者への依頼

×

×

自ら直接取引

×

レインズへの報告義務

法令上特になし

媒介契約から7日

媒介契約から5日

依頼者への報告義務

法令上特になし

2週間に1回

1週間に1回

契約期間

行政指導上3ヶ月以内

3ヶ月以内

3ヶ月以内

3つの契約の中で、「一般媒介契約」が最も制約が少ない契約です。最大のメリットは、他の不動産会社と仲介契約を交わすことができる点です。しかし不動産会社側からすると、他の会社が契約を決める可能性があることから、仲介活動に消極的になるかもしれないというデメリットもあります。

「専任媒介契約」と「専属専任媒介契約」の特徴は、一社しか仲介契約を交わせないことです。したがって会社側のモチベーションも高くなり、積極的に販売活動をしてもらえる傾向があります。

「専任媒介契約」と「専属専任媒介契約」の違いは、「専任媒介契約」は仲介契約をかわしつつ自ら直接取引ができ、「専属専任媒介契約」は仲介契約を交わしたら直接取引ができないという点です。

また、依頼者への販売状況の報告義務が、「専任媒介契約」の場合は2週間に1回のところ、「専属専任媒介契約」の場合は1週間に1回とやや厳しくなっています。

一棟マンションの売却活動

不動産会社と上記のいずれかの仲介契約を交わした後は、不動産会社が主体となり一棟マンションの売却活動を行います。

具体的な売却活動としては、インターネットを活用した活動とリアルな対面活動の2つに分けられます。インターネットでの活動としては、さまざまな不動産情報のポータルサイトへの登録やレインズへの登録、web広告への掲載などが挙げられます。レインズとは不動産物件情報交換のためのネットワークシステムのことです。国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しています。レインズに登録することで不動産情報を全国各地で閲覧できるようになります。

リアルな対面活動としては、既存の顧客への紹介や新規顧客開拓のためのチラシ制作やポスティング、新聞折込広告の作成やセミナーの開催などが挙げられます。

多くの場合、一旦仲介契約を交わした後は不動産の担当者に任せることになります。担当者によって熱心に営業活動をしてくれるケースと、反対に十分な営業活動を行ってもらえないケースがあるので注意が必要です。

仲介契約を行う際は慎重に不動産会社を選び、契約後は担当者と積極的にコミュニケーションを取って適宜状況を把握することが大切です。自分には分からないからと丸投げにするのではなく、気付いた点はすぐに伝えるよう心がけましょう。

購入希望者と交渉後に売買契約

購入希望者に対してまずは物件の内覧を行います。内覧後は価格や引き渡しの際の条件など詳細を話し合います。

条件の具体的な中身としては、販売価格・諸費用・設備管理・リフォームの必要性・代金の支払い方法・引き渡しの時期などが挙げられます。双方が納得できるよう、時間をかけて丁寧に話し合うことが大切です。ここで十分な話し合いをせずに契約してしまうと、後々トラブルが発生することになりかねないので気をつけましょう。

お互いの条件が合致したら売買契約を交わします。契約日当日は不動産会社の担当者や司法書士が立ち会い、売買契約書に署名し捺印を行います。さらに決済と物件の引き渡し手続きは、契約当日から1ヶ月以内に行われるのが通常です。

決済当日は、司法書士が登記など必要書類をチェックして登記手続きを行います。決済金の支払いや仲介手数料の支払い、ローンの返済手続きや抵当権の抹消登記手続きも行われ、全ての手続きが完了したら鍵と書類一式の引き渡しとなります。

売却が成立した翌年に確定申告

一棟マンションを売却して売却益がでた場合、契約の翌年に確定申告を行う必要があります。確定申告とは、一定額以上の収入を得ている人が適正な税金を納めるために、金額を確定させて申告する制度です、

確定申告の対象となる人は所得を得ている人であり、一棟マンションの売却を行い売却益を得た人が該当します。確定申告をしなければ、延滞税や無申告税、重加算税などの税金が課されることになるのでくれぐれも気をつけましょう。

確定申告は、マンションを売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に行う必要があります。年度によっては日程がずれるケースもあるので、事前に確認して余裕を持って進めることが大切です。

なお、一棟マンションを売却しても売却損が出た場合は、申告の必要はありません

一棟マンションを売却するタイミングとは

一棟マンションを売却するのであれば、できるだけ多くの売却益を得る最適なタイミングを図ることが大切です。具体的にどのタイミングであればお得に売却できるのでしょうか。

ここでは、一棟マンションを売却するのにおすすめのタイミングを3つ紹介します。

マンション経営で赤字が出る前

当然ながら、一棟マンションの買主は購入後一定の収益が得られることを見込んで購入に踏み切ります。収益が見込めないマンションを購入する可能性は低く売却することは難しいことから、できる限り赤字が出る前に売却することがのぞましいと言えます。

また購入当初は黒字の優良マンションであったとしても、経年劣化や周辺環境の変化などが起因して赤字に転じる可能性は否めません。現在は黒字だからと売り渋るのではなく、将来性を考慮しつつ適切な時期に売却することをおすすめします。

一棟マンションの築年数が20年以内

一般的に築年数が20年を超える物件は、売却可能な価格が大幅に下がりやすい傾向があります。築年数が1年経過するごとに不動産の価値は徐々に下がり、築20年までは比較的早く減少します。

築20年以降は緩やかに価値が下がっていく傾向があるため、どのタイミングで売却しても売却価格に大きな差は生じません。

売却予定の一棟マンションの築年数が20年以内であれば、できるだけ早く売却手続きを開始するとよいでしょう。

減価償却が終了するタイミング

減価償却費期間が終了するタイミングで一棟マンションを売却するのも、おすすめのタイミングだと言えます。減価償却費は、実際にはお金が出ていかないのに経費として計上できるため、節税に効果的です。

その一方で、減価償却費がなくなれば必要経費として計上できる額が減少して課税の負担が大きくなってしまうので、注意が必要です。

中古物件の償却期間は、「法定耐用年数−築年数+築年数×0.2」で算出されます。法定耐用年数は木造が22年、RC造が47年となっています。

築年数が20年の場合の計算方法は、以下の通りとなります。

木造:(耐用年数22年)-(築年数20年)+(築年数20年)×0.2=6年

RC造:(耐用年数47年)-(築年数20年)+(築年数20年)×0.2=31年

一棟マンションをスムーズに売却するコツ

納得いく一棟マンションの売却を行うためには、ポイントを押さえつつ柔軟に対応することが大切です。

ここからは、一棟マンションをスムーズに売却するコツを4つ紹介します。いずれも手軽に取り入れることができるので、ぜひ売却の際の参考にしてください。

不動産会社は担当が信頼できるかまで見極め

多くの不動産会社の中から不動産会社を選ぶ際は、担当者が信頼できる人物であるかどうかしっかりと見極めることが重要です。

多くの場合、安易に査定額の高い不動産会社を選びがちになりますが、中には不当に高い査定額を提示したものの、査定額の根拠に乏しい会社もあるので注意が必要です。

不動産会社を選ぶ際に押さえるべきポイントとして、以下のものが挙げられます。

  • 相場にあった適切な査定結果
  • これまでの販売実績
  • 信頼できる担当かどうか
  • 問い合わせた際のレスポンスの速さ
  • 地域での評判

不動産会社を選ぶ際は、決して焦ることなく上記ポイントを考慮しつつ、冷静に判断することをおすすめします。

収益が見込める状態を維持

一棟マンション売却のタイミングとして、一定の収益が見込める状態を維持した状態で売却することが大切になります。収益性が低いマンションは買い手がつきにくく、購入したところで十分な収益を見込めるとは限りません。

余計なリスクは取りたくないのがマンション買主側の本音なのです。

一棟マンションの収益を維持する方法として、マンションの空室率を下げる努力をおこなうことが重要です。具体的な対策としては、清潔で丁寧な維持管理、信頼できる管理会社の選定、クレームに対する誠実な対応などが挙げられます。

現在家賃滞納など、なんらかのトラブルを抱えている場合には、売却する前に解消しておく必要があります。マンション内を点検し、照明が切れている、設備が古くなっているなど気付いた点があれば早急に改善し万全の状態を維持しましょう。

相場を逸脱しない価格で売り出し

マンションを売却するのであれば、できるだけ高値で売却して多くの売却益を得たいところです。しかし、自身の利益ばかり優先して相場よりも高い価格で売り出したとしても、購入希望者が現れる可能性は低いでしょう。

売り出し価格を決定する際は、同様の物件の売却事例や地域の相場などを考慮しつつ、相場の範囲内で売り出すことが大切です。

ただしあまりに安い価格を設定すると、購入希望者が現れても自分の収益が低くなる恐れがあります。交渉過程で価格の値引き交渉があることなどを考慮して、売り出し価格だけでなく最終的な最低販売価格も事前に決めておくようにしましょう。

不動産会社に直接買取を依頼

仲介契約をしたものの、なかなか買い手が見つからない場合には、不動産会社に買取の依頼を行い直接買い取ってもらうのも有効です。

買取のメリットは、不動産業者が直接買取ってくれるためすぐに売買契約を交わすことができる点です。資金繰りなどの問題ですぐに現金が必要な場合、買取してもらうことで早く現金を手に入れることができます。

また買取の場合のメリットとして、不動産業者が所有者になるため、通常売主に課される契約不適合責任が免除される点が挙げられます。

さらに内覧の必要がない点も、買取のメリットです。内覧は不特定多数の人に対応する必要があるため、物心両面で負担がかかる特徴があります。しかし買取では、不動産業者が納得すれば売買は成立することから、一般的な内覧を行う必要がありません。

一方で買取のデメリットは、仲介よりも売却価格が安くなりやすい点です。買取後に不動産会社は必要なリフォームを施し市場に売り出します。その際に売却益を確実に得るためにも、買取価格は相場価格よりも低くなるのです。

最終的に誰が居住するのか分からない点も、買取のデメリットに挙げられます。一旦不動産会社に買い取ってもらうと、その後マンションは自分の管理下から離れます。どれくらいの価格で誰が購入するのか、どんな人が居住するのか気になっても把握することはできなくなります。

一棟マンションを売却するときの税金対策

一般的に一棟マンションは高額売買になることから、税金対策にも配慮する必要があります。マンションを売却した際に発生する税金として、所得税や住民税、復興特別取得税や印紙税などが挙げられます。

ここでは、譲渡益が発生した場合に課せられる所得税の詳細、さらに特例の適用について解説していきます。

マンションの取得費や譲渡費用を正確に計算

譲渡益が発生した際に課される所得税は、譲渡所得に税率を乗じることで算出されます。

ちなみに譲渡所得は以下の計算式によって算出されます。

譲渡所得金額=収入金額 -( 取得費+譲渡費用)-特別控除額

取得費は、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額を指します。譲渡費用は、売却に要した費用(仲介手数料や印紙代など)を指します。

譲渡所得がプラスで発生した場合、譲渡益が生じるため税金を払う必要があります。

なお、譲渡所得に乗じる税率は、所有期間によって異なります。1月1日時点で所有期間が5年超の場合は長期譲渡所得に分類され、15%の税金が課されます。1月1日時点で所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得と分類され、30%の税金が課されることになります。

一棟マンションを5年超えで保有

一棟マンションを売却した際に生じる所得税は、「譲渡所得×税率」で算出されますが、この譲渡所得に乗じる税率は、所有期間によって異なります。

1月1日時点で所有期間が5年超の場合は長期譲渡所得に分類され、15%の税金が課されます。1月1日時点で所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得と分類され、30%の税金が課されることになります。

長期譲渡所得に比べて短期譲渡所得のほうが税率が高いのは、短期間で頻繁に売買を繰り返す投機目的での不動産売買を防ぐのがその理由とされています。

したがって一棟マンションを売却する際は、5年を超えて保有したタイミングで売却するほうが税率が低くなりおすすめです。

特例を適用させ納税の繰り延べ

個人が事業用の資産を買い換えた場合、一定の要件を満たせば譲渡益の一部を将来に繰り延べることが可能となります。現在支払うべき譲渡所得税を節税できるのです。この特例を「事業用資産の買換えの特例」と言います。

この特例の適用を受けると、譲渡価額より買い換えた金額が多いときは、売った金額に20%を掛けた額を収入金額として譲渡所得の計算を行います。繰り延べられる譲渡益は本来の80%のみとなるのです。

一棟マンションを売却するときの疑問

一棟マンションを初めて売却する際は分からない点も多く、不安に感じることもあるでしょう。ここでは、一棟マンションを売却するときに抱く疑問点を3つピックアップして紹介します。

事前にリフォーム・リノベーションは必要か

一棟マンションを販売する際は、毀損箇所や劣化箇所は修繕する必要がありますが、リフォームやリノベーションまでする必要はありません。実際にリフォームやリノベーションをするとなるとコストがかかり、うまく売却できてもリフォーム費用などを回収できない可能性があります。

もしリフォームをするのであれば、単独で決めるのではなく不動産会社の担当に相談して慎重に判断することをおすすめします。

一部屋単位で個別に売却は可能か

一棟マンションであっても、区分登記をすれば一部屋単位であっても売却は可能です。しかし、区分登記を行う際は数十万円の費用がかかります。部屋数が多ければさらに多額の費用がかかるため、しっかりと計算したうえで判断するとよいでしょう。

一棟マンション売却の相談はどこがよいか

一棟マンション売却の相談を行う際は、相談内容に応じて適切な相談先を選択することが重要です。

売却にあたり税金の相談を行う際は、税理士に相談します。マンションの価値に関する相談であれば不動産鑑定士がよいでしょう。

登記や権利関係に関する相談であれば司法書士マンションに関するトラブル案件であれば弁護士に相談するなど、適切に相談先を選択することで解決できる可能性が高まります。

まとめ

今回の記事では、一棟マンションの売却に関する基本的な流れや重要なポイントについて解説しました。一棟マンションは高額不動産であり、確実に収益を得るためにも売却に関しては慎重に進めることが大切です。

この記事では大まかな流れや概要について紹介しました。売却を検討する際は、その都度専門家に相談して判断を仰ぎつつ、納得のいく売買を行うよう心がけましょう。