メタボリックシンドロームを慶應義塾大学/医学部・内科[佐藤 誠剛]先生が解説します。

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佐藤 誠剛 先生

[Masataka Sato]

慶應義塾大学
医学部 内科

■専門
消化器疾患/肝臓疾患/生活習慣病/働く人の健康管理

■所属学会・資格
Member of The American College of Physicians/日本内科學会認定内科専門医/日本消化器病學会認定医/日本肝臓學会認定専門医/労働衛生コンサルタント

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メタボリックシンドロームとは?

正しいカロリー量を自覚しましょう

若々しさの残る顔と対照的に、ぽっこりとしたお腹――。
通勤電車やオフィスの中で、こんな30代男性を見かける機会が増えています。

30〜50代サラリーマン6割が「太りやすい生活」

ある調査によれば、30〜50代のサラリーマンの6割が、自分の食生活や運動習慣から考えて、「太りやすい生活」を送っていると自覚しているそうです。

さらに、回答者の約6割は、日ごろの食生活が「カロリーオーバー」と認識している一方、自分の適正なカロリー摂取量を知っている人は全体の約1割に過ぎませんでした。
カロリーオーバーを心配しながらも、実は目安となる正しいカロリー量自体を自覚していない人が大多数ということです。

このほか、「早食い」を自覚する人が72%、「食事が不規則」が54%、「寝る直前に食べる」が59%に達しています。

日本人の食事摂取基準

「日本人の食事摂取基準」では、生活習慣病の予防に重点が置かれ、特に生活習慣病予防に有効とされる11種類の栄養素には、新しい指標として「目標量」が設定されており、取りすぎによる健康への悪影響が心配される「ナトリウム」や「コレステロール※」は摂取量を減らすように、一方、「食物繊維」「n-3系脂肪酸」「カルシウム」「カリウム」などについては、摂取量を増やすよう勧められています。

食生活に劣らず運動も貧弱です。全体の3分の2近くの62%は直近3カ月に全く運動をしておらず、運動不足を自覚している人は全体の69%に達しています。

せっかくの休日も多忙や疲労を口実に、全体の57%が「家でごろごろ」しているのです。

※コレステロール:脂質の一種で、細胞膜やホルモンの材料として人体に欠かせない。多すぎると血管の壁にたまり、血管がもろくなったり詰まったりする動脈硬化を起こし心筋梗塞につながるとされてきた。逆に少ないと、がんや脳出血になりやすいと言われる。

メタボリックシンドローム・知っておきたい4つの知識

食生活の変化が危険因子プロファイルを悪化

生活がほぼ米国化したと考えられる3世または4世の日系米国人の冠動脈石灰化(CAC)指数と他の冠危険因子プロファイルを米国の白人と比較したところ、白人より日系人の方が無症候性アテローム性動脈硬化患者が多いという興味深い事実が米太平洋保健研究所(Pacific Health Research Institute)の調査で明らかになりました。

本研究対象の日系人の父親世代がホノルル・ハート・プログラムに登録された40年前、彼らが中年の時の冠危険因子プロファイルは、米国白人に比べ良好でしたので、西洋の文化への順応、例えば食生活の変化が危険因子プロファイルを悪化させ、アテローム性動脈硬化リスクを高めている可能性があるということです。

2.シェイプアップでイメージを向上させましょう

米イースタン・ミシガン大学の心理学者Lernerは約200人の人達に肥満者の写真と、筋肉質な人の写真を見せて、どのような評価を受けるのかを調べたところ、筋肉質な体型ほど、健康的・勇敢といったポジティヴな評価を受けることがわかりました。

肥満者でポジティヴな評価を受けるとしたら、せいぜい「優しい」と「正直者」の次元だけであり、「あいつはおしゃべりだ」とか、「不健康そう」といった悪いイメージを与えるのだから、どちらにしても肥満体であるよりはむしろダイエットしたり、身体を鍛えたりした方がいいと思いませんか?

また、別のデータによると、太っているとそれだけで自尊心が下がってしまうと言うデータもあります。

米ウェイク・フォレスト大学健康運動科学部のジャック・レジェスキは、幸せな気分であり続ける秘訣として「体重を減らすこと」を第一に挙げています。

「夏ばて解消のために、もっと食べないと…」「疲れをとるために、糖分を摂らないと…」そんな言い訳をしながら食べ過ぎていると、周りに悪いイメージを与えてしまうことになりかねません。
他者に対するイメージ戦略の上でも、自分自身の心と身体のためにも、シェイプアップは大切ということです。

3.「足やせ」はしない方がよいのです。

「心臓病にならないためには、減量はしても足は細くしない方がいい。」

筑波大人間総合科学研究科が成人女性を対象に行った健康調査で、そんな結果が出ました。腹部の内臓脂肪とは違い、足にある脂肪には心臓病を防ぐ働きがあるらしいのです。

血圧や中性脂肪の値など、心臓病のリスクを予測する指標は、胴体の脂肪がたくさん減るほど改善したのですが、ももやふくらはぎなど足全体の脂肪については、少ししか減らない人の方がより改善する傾向でした。

この理由としては足の脂肪から、動脈硬化などを防ぐホルモンが出ている可能性が考えられます。
ということは、内臓脂肪を落とすことがやはり大切であって、健康の面からは『足やせ』はしない方がよさそうです。

4.米7麦3

いやおうなしに健康的な生活を送らざるを得ない場所もあります。

それは刑務所。

服役中に2型糖尿病患者の血糖値が著明に改善したというユニークな研究成果が、日本人間ドック学会学術大会で発表されました。

しかし、受刑者の栄養摂取量が日本人の平均と同等以上であることや、運動量がそれほど多くはないことから、何か別の要因もあるのではないかと検討したのだそうです。

そして思い当たったのが、刑務所の主食が、今どき珍しい“麦飯”(あちらの業界用語で「バクシャリ」と言うらしいですが)であることでした。
米7麦3のご飯を毎日食べることで、食物繊維、とりわけ水溶性の食物繊維の摂取量が多くなり、糖代謝の改善につながったのではないかと考えられています。

受刑者は平均的日本人男性の2倍の食物繊維を摂取し、水溶性食物繊維に至っては、5倍も取っており、「規則正しい生活習慣と麦飯などの高食物繊維食で、十分な糖尿病の治療効果がもたらされる可能性がある」ということです。

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